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"本研究は,家庭科教育の保育体験学習に関する先行研究や乳幼児とのふれあい体験に関する国の施策などにより「次世代育成」および「子育て理解教育」という観点を得て,筆者が平成16年度から18年度までの3年間にわたって「聖徳大学生涯学習研究所学術フロンティア推進事業第1部門」の研究員として実際に実施した中学生・高校生による保育所での保育体験学習の実践を見直し,検討課題を導き出そうとするものである。先行研究からは,現代の子育てに対する養育者の不安な状況が,乳幼児とのふれあいや接触の経験の欠如を要因として由来するものであることが確認され,そこを補うものとして家庭科教育の家族や家庭・育児に関して学ぶ単元における保育実習,すなわち保育体験学習の実施の重要性がより一層高まっていることが読み取れた。また,保育体験学習のプログラム開発のために3年間にわたって行った保育体験学習の実践を通じたエピソード事例,生徒の意識調査,保育所や家庭科教諭からの聞き取り調査,さらに今回新たに川崎市の公立保育園に対して行った実施状況調査などを通じて,保育体験学習の実施にあたっては,(1)実施の具体的方法(2)プログラム内容(3)関係諸機関との連絡・調整(4)安全の確保(5)体験の振り返りのあり方が主な検討課題として存在することがより明確になった。今後は,地域連携の実現に向けてこの保育体験学習に対する保育者養成校としての役割をさらに追究していく必要性が求められていると思われる。", "subitem_description_type": "Abstract"}]}, "item_10002_full_name_26": {"attribute_name": "著者別名", "attribute_value_mlt": [{"nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "218", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}], "names": [{"name": "Yahagi, Yasuko"}]}]}, "item_10002_textarea_29": {"attribute_name": "内容記述", "attribute_value_mlt": [{"subitem_textarea_value": "次世代育成としての乳幼児とのふれあい体験\r\n~中学生・高校生の「保育体験学習」に関する実践の検討~\r\n矢萩 恭子\r\nI はじめに\r\n 子どもの育ちの変容ぶりや親の子育て力の低下ということが,現代の社会状況における重要な課題として繰り返し指摘されるようになって久しい。筆者の過去の保育者経験を振り返っても,ここ10年くらいの間に子どもの日常生活における経験や人とのかかわりが極端に偏り,例えば,敬体を用いた言葉遣いで大人と会話する一方で,自分と同年代の子どもに近寄られることに抵抗を示す年少児の姿や,我が子の担任としてよりもむしろ自分の話を聞いてくれる相手として保育者を求めてきたり,我が子以外の子どもを目の当たりにし,その行動が受け止め難かったりする保護者の姿などが保育者同士の話題に次々と上るようになったという実感がある。\r\n 少子化社会のなかで,母性に対する見方や子どもという存在の価値が問い直されるこの時代に,子どもが凶悪な犯罪の被害者となる事件や,親による虐待や,いじめの問題が頻出する一方,人間同士の関係性が希薄となった地域における子育て支援の重要性が叫ばれる。\r\n このような時代に保育者養成校で学ぼうとする若者に保育者を目指したきっかけを尋ねると,「子どもが好き」「子どもの頃の先生かやさしかった」「子どもの頃からの夢」などという答えと並んで中学・高校時代の幼稚園や保育所での保育体験を理由とする者がいる。2年前に開設された本学子ども家庭福祉学科でも,大学入学前の保育体験として小・中・高等学校での授業の一環である家庭科や総合的な学習の時間を挙げている者は第1期生のうち68%であった2)という。この幼児との交流体験学習は,学校教育においては,1977年告示の学習指導要領に「体験活動(学習)」という言葉が登場し, 1989年告示の際には「体験的な活動」が重視され,さらに1998年告示の際には「総合的な学習の時間」を核として行われることとなる自然体験やボランティア体験,職場体験などと並んで「交流にかかわる体験活動」の一環として登場する气養成校の学生のように職業として保育者を目指さずとも,いずれ子どもを育てる親世代になっていく若い世代にとって乳幼児とふれあう体験は,子育てに関する社会的・精神的困難や,子どもの権利条約以来謳われ続けてきている「子どもの最善の利益」が守られているとは言い難い現状から推しても重要な意義があると考えられる。\r\n そこで本稿では,乳幼児とのふれあい体験についての動向や,家庭科教育の保育体験学習に関する先行研究を概観し,筆者自身が一研究員として中学生・高校生に保育体験学習のプログラムを作成し,実施した実践を見直すこと,および川崎市内の公立保育園を対象に行った保育体験学習の実施状況に関するアンケ一卜の分析を通じて,保育体験学習の今後の検討課題を見出したい。\r\nⅡ.「保育体験学習」の現状\r\n(1)乳幼児とのふれあい体験の意義\r\n 最近の幼児を取り巻く社会状況の変化に関しては,近年の都市化,核家族化,少子化,情報化の進行が幼児の生活に様々な影響を及ぼしていることが言われてきた。大人からの過保護や過干渉,テレビやゲームによる間接情報の氾濫と直接体験の減少,遊びの仲間や遊ぶ場所・時間の喪失などが顕著となり,生涯にわたる人間形成や発達の基礎となる幼児期の生活の基盤が大きく揺らいでいることがさまざまな形で指摘されている。また関連して,家庭の教育力の低下ということで,子育ての大切さや意義を実感できず,情報に振り回され,育児不安を増大させ,地域の中で孤立する親の姿も問題とされてきた。原田が実施した大規模な子育て実態調査である「大阪レポート」 (1980年)と「兵庫レポート」(2003年)では,現代の親の子育ての困難さとして,親自身が乳幼児を知らないことにあるという調査結果が示されている。「大阪レポート」では,育児不安の原因について①母親が子どもの要求を理解できないこと②母親の具体的心配事が多いこと③母親に出産以前の子どもとの接触経験や育児経験が不足していること④夫の育児への参加・協力が得られないこと⑤近所に母親の話し相手がいないことという5項目が指摘され,「兵庫レポート」ではこれらが比較検証されている。その結果,両調査が行われた20年余りの間にも母親の子育てに対するストレスは増大し,乳児期の親の孤立化がますます進み,日本の子育てに対する原田氏の危機感はさらに深まっているという。【図1】\r\n【図1】原田正文「子育ての変貌と次世代育成支援」名古屋大学出版会, 2006, p. 142\r\n また,こども未来財団による子育てに関する意識調査でも,子育ての疑似体験的接触経験をもつ方が子育てに対しても「楽しい」と感じる者が多く,もちたい子どもの数にも影響を及ぼしていることが指摘されている。\r\n 日本女子社会教育会「家庭教育に関する国際比較調査」でも,親になることについての経験や学習の国際比較で,日本は育児本から知識を得たという割合が,親から直接教えてもらったという割合を抜いて最も多い。家族の形態や機能が変化し,地域社会での人間関係が弱体化するなかで,子育ての文化が継承されにくくなってしまった現代の日本の現状がここにあると言えよう。岡野は,こうした近年の日本においては,児童・生徒と乳幼児との交流が乏しくなっており,親が子どもを慈しみ育てる資質を身につける教育が基本的に必要であることを述べ,自らが親になるかならないかにかかわらず「主体的に子どもを育てていこうとする態度に至る準備状態」や「青年期における心理的『親』の準備状態を意味する語」として「親準備性」という言葉で捉え,また,伊藤は,「親性」を「次世代の再生産と育成のための資質」とし,この「親性」の形成過程において段階的に形成される資質を「親性準備性」として捉えている。金田は,親になるための狭い意味での親教育ではなく,親になってもならなくても全ての大人に不可欠な資質として「親世代性」を強調し,その本質を養護性・育児性と捉え,高齢者や障碍者とのかかわりにも通じる一般的な概念の構築の必要性を述べている。「次世代」という言葉を,子育てを間近に控えた子育ての次世代である中学生・高校生と捉えた場合,中学生・高校生という自らが育てられている時期に子どもとふれあうことの喜びを実感し,子ども一人一人の存在の大切さを体験することの意義は,まさに「次世代育成」としての意義を有するものであると考えられる。\r\n 実際,中学生・高校生の段階で乳幼児とふれあう体験学習は,現在子育て中の親子に対する子育て支援活動と同様,各自治体で幼稚園や保育所,保健センターや児童館,子育て支援センターなどで行われている。但し,自治体によって実施に差があり,中学校・高等学校の教育行政と乳幼児の健康福祉行政とが連携しあう必要性も抱えている。厚生労働省の施策に関する平成14年12月の実績評価をみても,学校や保健センターなどの限られた場所で実施されていること,関心のある児童の参加が中心であることなどの問題点が指摘されている。\r\n(2)乳幼児とのふれあい体験推進の動向\r\n 少子化や子育て不安の現状から,次世代育成としての中学・高校生と乳幼児とのふれあい体験は,国の施策としても,厚生労働省や文部科学省などから様々な形で提唱・推進されてきた経緯がある。ここに,近年の一連の施策について中学生・高校生の保育体験学習に言及している部分を概観しておく。\r\n1)文部科学省での動向\r\n 体験学習の重要性や家庭教育に関する学習機会の充実については,「生きる力」を育み,いわゆるゆとり教育を提唱した「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の中央教育審議会の答申(平成8~9年)に見ることができるが, 1998 (平成10)年6月の答申「幼児期からの心の教育の在り方について」の第3章「地域社会の力を生かそう」の中に,学校における家庭科教育は教室内で知識として親として大切なことを教えるだけでなく,実際に乳幼児とふれあい,遊び,世話をするといった体験学習の機会をつくることが提唱されている。また,2000(平成12)年答申「少子化と教育について」では,平成6年度からの家庭科の男女共修を受け,男女が協力して家庭を築き,子どもを産み育てることの意義を学習することや,それをさらに充実するために保育体験学習を推進すること,子育ての大切さや親の役割,地域の一員として近隣の子どもとのかかわり方などについて考えさせる「子育て理解教育」という視点が強調されている。\r\n さらに,中教審初等中等教育分科会で審議され,提出された「幼児教育振興プログラム」(2001(平成13)年3月),「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」(2005(平成17)年1月)などにおいても,それぞれ幼児教育の側から子育て支援の充実を唱え,幼児と中学生・高校生との交流の推進を図り,将来親になる世代に対して子育ての意義や親の役割,男女が協力して家庭を築くことの重要性への理解を深める次世代育成の視点が述べられている。そして生涯学習分科会においても,「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」の中間報告(2007(平成19)年1月)のなかで,家庭の教育力の向上のための5つの方策のなかの一つとして中高校生が幼児やその親とふれあう機会の促進が入っている。\r\n 一方,家庭科教育においては,初等中等教育分科会の教育課程部会「家庭,技術・家庭,情報専門部会」(2006(平成18)年7月)において家庭や家族に関する教育と子育て理解のための体験や交流を一層重視する視点から保育体験学習が提示されている。中学校の「技術・家庭」,高等学校の「家庭基礎」「家庭総合」「生活技術」といった教科の学習指導要領にも,幼稚園や保育所等での幼児との触れ合い,交流,実践的活動の機会をもつように留意し,努めることが明記されている。【資料1】\r\n【資料1】現行の学習指導要領から抜粋(下線は筆者)\r\n 第3期~第4期中教審の初等中等教育分科会教育課程部会「家庭科,技術・家庭科,情報専門部会」でこの科目の現状や課題を検討・審議する流れのなかでは,少子高齢化や家庭の機能が十分に果たされていない状況を踏まえ,家庭のあり方や家族の人間関係や子育て理解のための体験や交流を一層重視する視点から「保育体験学習」「幼児触れ合い体験」の一層の充実が提起されている。現在,これまでの「ゆとり教育」の見直しを中心に改訂作業が進んでいる学習指導要領でも家族と家庭の役割や子育て理解についての指導の充実という内容は変わらないようだ。基礎的知識や技能,確かな学力を確保するための主要教科時間が増加する方向性において,多様な内容を含む家庭科の実際の授業にどこまで反映させていくことができるか課題も予想される。\r\n 2)厚生労働省での動向\r\n 1994 (平成6)年のエンゼルプラン策定以来,国は次々と少子化対策を打ち出し,子育て家庭や親子を支援する施策を講じてきたが, 2003(平成15)年8月に[次世代育成支援施策の在り方に関する研究会]から出された「社会連帯による次世代育成支援に向けて」において,「中高生と乳幼児のふれあいの場の提供」や「中高生と赤ちゃんとのふれあい事業」が「次世代の親づくり」の視点からも有効であることが明記されている。また, 2003 (平成15)年7月の「少子化社会対策基本法」では,「家庭や子育てに夢を持ち,かつ,次代の社会を担う子どもを安心して生み育てることができる環境を整備し,子どもがひとしく心身ともに健やかに育ち,子どもを生み,育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現」すべく基本理念を明らかにしており,この法律により2004(平成16)年6月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」では,4つの重点課題が挙げられ,実際に着手すべき具体的行動28項目の11番目に「乳幼児とふれあう機会の充実等を図る」と挙げられている。さらに,この「少子化社会対策大綱」を受けて, 2004(平成16)年12月に「子ども・子育て応援プラン」が策定された。次世代の育成について全ての国民が自分の問題として捉え,置かれた状況に応じた役割を果たしていくことが期待され,4つの重点課題の一つとして,「生命の大切さ,家庭の役割等についての理解」が挙げられ,「保育所,児童館,保健センター等において中・高校生が乳幼児とふれあう機会を提供」し,「全国の中・高等学校において,子育て理解教育を推進する」という目標が立てられている。これをもって,多くの若者が子育てに対して肯定的なイメージをもてる社会の実現を目指すべき姿として示している。\r\n 3)その他\r\n 厚生労働省では,年長児童と乳幼児とのふれあい交流をさらに推進することが2006 (平成18)年3月の全国児童福祉主管課長会議でも盛り込まれ,平成19年度には,文部科学省と厚生労働省の放課後対策事業が連携して創設された「放課後子どもプラン」が実施される中で,地域における子どもの健全育成,子育て家庭への支援の充実ということで,中学生・高校生と乳幼児が出会い,ふれあう機会を推進するため児童館などを活用した取り組みがさらに推進されることになった。厚生労働省と文部科学省が共同で行った「乳幼児と年長児童の交流状況調査」(2006(平成18)年3月)では,実際の交流状況が,中学校で35.2%,高等学校で28.6%という数字になっている。そして,その中の約8割が学校の授業の一環であるということだが“年長児童”が小学校高学年(4~6年),中学校,高等学校を表わしており,学校種によって実際の教育課程も異なっていることを考えると,より詳細なデータを得るための調査が必要であろう。同調査では,厚生労働省が,市町村に対しては「児童ふれあい交流促進事業」を,都道府県においては「児童ふれあい交流支援事業」を実施する中で,こうした取り組みを2005年度に実施している児童館が全体の29.3%に上ると報告している。\r\n さらに,関連するものとしては,厚生労働省が21世紀の母子保健の取り組みを提示する「健やか親子21」においても,子どもの心の安らかな発達の促進と並んで育児不安の軽減ということが挙げられているが,保育体験学習のふれあい体験で中学生・高校生がかかわりをもつことになる乳幼児の母親にとっての意義を考える面から,関係する動向として挙げておく。\r\n 一方,保育体験学習の受け手の一つである保育所に関しては,平成14年度から本格的に開始された保育所の第三者評価事業の「福祉サービスの第三者評価基準(保育所)」においては,「中高生などの保育体験を受け入れるに当たり,受け入れの意義や方針が全職員に理解され,受け入れの担当者も決められている」との内容が明記されており,実施に際してのチェック体制も用意されていることが分かる。\r\n 以上,近年進められてきた国の施策のなかから保育体験学習に関する一連の流れを取り出してみた。急速に変化している子どもを取り巻く環境やそれに伴う子育ての現状を踏まえ,保育体験学習を子育て理解教育,あるいは親世代の育成という視点から,中学生・高校生が乳幼児と出会うことにより,自らの養護性に気づき,自己肯定感を高め,やがて親世代になる自分自身をも含めた人間の生涯にわたる発達する姿への理解を深め,一人一人がより充実した人生を送るためにも今後へ向けて是非推進の動向を止めずにいきたいと考える。\r\n(3)「保育体験学習」に関する先行研究\r\n 日本家庭科教育学会などの先行研究を大別してみると,家庭科の保育教育の意義や現状に関するもの(倉持2003,金田2004,伊藤2007),保育体験学習による意識変容や効果に関するもの(大路・松村1998,藤池・原田2002,岡本・藤後2001,伊藤2004),砂上・中嶋・日景・盛2004/2005),保育体験学習の内容や家庭科の授業実践に関するもの(全国幼稚園教育研究協議会2006,金田・鈴木2001 金田・大道2002,鳥井・岩瀬・丸山・北島2006,杉2007),保育体験学習の場となる保育所や幼稚園側からの視点を含めた実施上の課題に関するもの(岡野2002,伊藤2007),家族や子どもに対するイメージに関するもの[伊藤・武藤1987,藤後2001)などがある。\r\n なぜ家庭科教育において保育体験学習を考えていくのかという点に関しては,金田により,それが国民の一般教育,普通教育のなかで唯一保育を学ぶ教科内容である家庭科の保育分野の意義が指摘されており,また,伊藤により職種としての適性を探るために希望者にのみ限られた体験となってしまう職業体験としての保育実習との違いが指摘されている。この点ついては,家庭科が平成6年度から男女共修となった経緯から見て,女子のみならず男子生徒をも等しく保育学習の対象者とすることで,家族や地域,社会全体で子どもを守り育む世の中の創造につながるものと考えられる。\r\nⅢ.「保育体験学習」実践の振り返り\r\n ここでは,保育体験学習のプログラムを実施する際に生じる種々の問題や課題を整理するために,筆者が研究員の一人として実践した松戸市の保育所における中学生・高校生の保育体験学習の実践の過程を振り返る。なお,先行研究に見られる家庭科の授業の実践研究とは,保育体験学習の実践主体が中学校,高等学校の家庭科教諭ではなく,大学の研究グループであった点において相違する。それは,保育の現場や学校の状況が地域の実情と密接に結びついていることから,地域における大学としてそれらの現状を把握することに努め,保育体験学習のプログラムを開発・試行し,地域に提供することで子育ての地域支援システムへと発展させることが研究の目的であったことによる。その詳細な内容は,研究成果報告(2006)の通りであるが,本稿では,筆者が参加した3年間の試行の過程を通じて実践的に得られた点を中心に保育体験学習実施に関する課題をまとめる。\r\n (1)保育体験学習プログラムの概要\r\n 研究グループから松戸市内のA高校,B中学に働きかけ,夏休みの2日間あるいは3日間を使って保育体験学習に参加希望の生徒を募集した。プログラム1日目に大学の施設内で事前指導を行い,2日目あるいは2日目と3日目に,協力に応じてくれた近所の保育所(園) C , Dと子育て支援センターEにおいて保育実習と事後指導を行った。高校生は2日間のプログラム(事前指導1日,C保育所での実習1日),中学生は3日間のプログラム(事前指導1日,D保育園内のE子育て支援センター1日,D保育園1日)で行った。事前指導の内容やプログラム自体については,実施後の反省を踏まえて翌年には改善を加えながら高校生プログラムを3年間,中学生プログラムを2年間試行した。【資料2】\r\n【資料2】高校生プログラムaと中学生プログラムb。(平成18年度)\r\n (2)プログラム実施の流れと課題\r\n 平成16~18年度の3年間に行われた保育体験学習実施の流れについて図にまとめると以下のようになる。中学校・高等学校と保育所(園)との直接のやりとりではなく,大学が両者を媒介しているためその分やや複雑な流れとなっている。【図2】\r\n 比較のために,千葉大学教育学部伊藤葉子氏が附属中学校教諭および千葉市内の6つの中学校教諭の協力のもとに作成した「保育体験学習ガイドブック」(2007)にみる「実施までの流れ」【図3】と全国幼稚園教育研究協議会(現,社団法人全国幼児教育研究協会)による「中・高生の育児体験」支援事業報告書(2006)にみる「手順図」【図4-1】【図4-2】をここに挙げる。前者は,家庭科の保育学習として保育体験学習に取り組む際,その教育的効果を高めるための指導方法や手続きについて現場の教師に向けてまとめられている。作成にあたり,中学,高校,幼稚園,保育所に対してアンケートも実施されており,それぞれの現場からの声が反映されている。また,後者は,岩手,愛知,大阪,福岡の全国4地区の事業推進地区にある幼稚園計12園と中・高生との交流事例が紹介されている。この事業の特色は,これまで中学校,高等学校に体験学習という場を提供する受身的な立場であった幼稚園側か,学校に対する働きかけを積極的に行い,園側の意図を明確に伝えながら交流を行っていった点にある。\r\n【図2】実施の流れ(松戸市)\r\n【図3】実施までの流れ(千葉市)\r\n【図4-1】手順図(全国4地区)\r\n【図4-2】手順図(全国4地区)\r\n 以上3例いずれの場合も押さえておくべきことは,保育体験学習は送り手側である個々の学校や受け入れ側である園の様々な事情,その地域独自の状況によっていろいろな内容や方法が考えられるということである。今回筆者も,この保育体験学習を試行するにあたって何回も学校に連絡を入れたり,足を運んだりしながら強調したことは,窓口となってくれた家庭科担当教諭や進路指導担当教諭はもちろん,学校長や教頭に対して,既に行われていた職場体験とは異なる保育体験学習の意義や重要性を理解してもらうことであった。保育体験学習を実施しようとする教師は,この点に関して学校長ばかりでなく,学校内の他の教科の教師の理解を得ておく必要がある。また,小学生から大学生に至るまで様々な相手に保育の場を拓いている幼稚園や保育所に対しても,保育体験学習のねらいを明確に伝えることは重要である。何と言ってもこれが,実施にあだっての第一の謀題であろう。\r\n 次に課題となるのは,具体的なプログラムの内容の検討である。先の試行では,筆者も含めた保育経験者である教員,小児保健および発達心理が専門の教員により直接中学生・高校生に事前指導を行った。1回目の内容は,乳幼児の発達の理解や衛生と安全についての理解に関する講義やVTR視聴,手洗いの仕方の実習,育児の方法として,人形による抱き方や寝かせ方,授乳・おむつ交換の仕方などの体験,そして翌日の保育実習に備えたオリエンテーションであった。実施後の反省を踏まえて毎回改善を行ったが,2回目は講義系の内容よりも実技系の内容を先にもってくるようにし,さらに新たな内容として妊婦体験ジャケットの着用体験,手作りおもちや製作やふれあい遊び体験を取り入れた。3回目は,ビデオ教材を変更し,新たな内容として大学の託児室という環境を利用し,自らの幼児体験を感覚的に思い起こしながら,おもちゃや絵本で自由に遊ぶ時間を設けた。さらに保育園へ持参する手作りおもちや製作を新たな内容にした。\r\n また,保育実習の中身について,中学生プログラムの2日目に子育て支援センターでの地域の親子とのふれあいを取り入れた。中には月齢の低い乳児も含まれており,母親の承諾を得て人形ではなく本当の乳児を抱っこする体験も得られるようになった。高校生プログラムも,2回目の試行では全員が乳児クラスを経験できるようなクラス配属とローテーションの工夫をお願いすることができた。課題としては,乳幼児とのふれあい体験の意義をより効果的に高めるためには,果たしてどのような事前指導プログラムが適当であるのかということである。体験者である生徒たちの反応や様子を観察し,また実習の事前・事後で子どもや子育てに対する意識調査を行い体験学習の効果をみたが,意識調査の結果は研究成果報告書に譲ることにして本稿では次節において,実践でのエピソード事例をもとに考察を行うこととする。\r\n 3番目の課題としては,各関係諸機関との連絡・調整,そして報告作業とそれに伴う文書や書類の作成作業の負担ということが挙げられる。特に,先の試行では学校にとっては正規の授業以外での実施のために先方の教師に時間を割いてもらうことになり,多忙な職務の合間を縫って可能な連絡時間帯や連絡方法を確保するだけでも困難があった。自治体の担当者も同様であり,多忙な保育教育行政の担当者とはコンタクトが厳しい面もあった。しかし,いずれの場合も,アプローチの仕方を工夫しながら根気よく継続していくことにより,次第に関係が作られ,回数を追うごとに顔の見える間柄となり,試行へのよりよい協力が得られたことは大きな収穫であった。また,各保育所(園)については,所長および園長の理解と協力を迅速に得ることができ,非常に好意的に受け入れてもらうことが出来た。地域における園の機能の一つとして,子育て支援や次世代育成の意識が保育の場に浸透していることを感じさせられた。我々の依頼事項や相談事項を園内の職員会議でも取り上げて検討してもらえたり,異動による所長交代があっても継続して受け入れてもらえたことは,受け入れ側の労によるところが大きい。\r\n 4番目の課題は,安全の問題である。つまり,保育体験学習実施日当日の生徒および乳幼児の安全確保や当日の教師や園との連絡体制である。我々の試行では,生徒を預かって保育体験学習を実施したため,まずは生徒の安全に気を配る必要があり,そして保育実習では乳幼児の安全面への配慮も欠かせない点であった。教師や保育者もこの点は同様であった。そこで,中学生の場合は,中学校から徒歩圏内で行ける保育園を考え,尚且つ研究員が往復を引率した。3年目の夏の試行時には,中学側から熱中症対策への留意を依頼された。高校生の場合も集合場所を決め,そこから園までの往復を研究員が引率するという方法をとった。面識のない生徒だちと待ち合わせをするため,当日の欠席・遅刻連絡は不可欠である。学校側の教師の協力が欠かせない。また,学外に出かける実習であるので,保険の確認や,無事に終了した際には,学校へ連絡を入れる体制を作っておく必要があった。\r\n 最後に,保育体験学習事後のまとめをどのように行うかという課題である。先の試行では,保育所(園)の一室を借りて,その日の体験について感想を述べ合い,保育者に対して質問することと,実習事後の子ども・子育てに対する意識調査に回答することでその日の体験についての振り返りを行った。体験学習に関しては,体験させるだけで果たしてよいのかという問い直しや,一方的に体験させることが生徒への押し付けになっていないかという反省を絶えず迫られることになる。先の試行では,希望者を募るやり方であったためこの点の実践的な裏づけは難しいが,希望者のみが参加する職場体験との違いは,まさにここにあるのであって,体験したことを学びにつなげていくような事後指導の充実が課題であると同時に,学校の授業に位置づけるところにまで保育体験学習への理解が得られるよう働きかけを続けていく必要があるだろう。\r\n (3)プログラム実践エピソード事例\r\n 以下に,実際の保育体験学習の場での事例を3例挙げる。いずれも,保育所(園)への引率時に体験の様子を観察していた筆者の記録によるものである。それぞれに体験学習の意義を物語っている事例である。\r\n 事例1 自らが遊ぶ体験2006/7/31(月):中学生\r\n おもちゃを目の前にすると,生徒達は躊躇することなく遊び始めた。そして,事前指導でのそれまでの緊張感がほぐれて一斉ににぎやかになる。全員ではないが,中学生が人形を乱暴に扱ったり,積木を作っては壊す遊びに興じている様子からは,日頃の彼らはいわゆる自らの養護性からは遠いところに生活しているように見受けられた。もちろん,安全面についての話は伝えるが,そのまま実際の保育の場へ連れて行くことが躊躇されるくらいの様子であった。ところが,翌日子育て支援センターの親子のひろばに入れてもらったときに,実際の乳幼児を前にして見せた彼らの表情やかかわり方は前日の託児室での姿を微塵も感じさせないものであった。少しずつ子どもの様子を見ながら相手の于どもの思いに合わせたり,相手の要求に応じて絵本を読んだり,自然に子どもの方へ身を屈めて話しかけたりなど,子どもを前にして初めて,子どもから引き出される動きや表現があるということが読み取れ,現実に出会うことや触れ合うことの意義を感じさせられた。\r\n 事例2 自分自身と向き合う2005/8/2(火)。2006/8/1(火):中学生\r\n わずかの時間であるにもかかわらず,保育体験学習が,それまで子どもは苦手であると堅く思いこんでいた生徒が自分自身の新しい面を発見したり,日頃の生活場面とは違う世界で自分自身を生き生きと表現できるきっかけを取り戻したりできた事例である。保育体験学習は,乳幼児の世話や養護の仕方を技術的に経験したり,身につけたりすることを目的としているというよりも,子どもという存在に触れることでかつては同じように子どもであった自分自身を思い出し,現在の自分自身への肯定的な感情を高めること,生命を守り育てることの価値を再認識するところから親性準備性を育むところにそのねらいが置かれていることを考えると,これらの生徒の姿はまさにそのことを物語っているように思われる。\r\n 事例3 子どものペースに徹底的に合わせる2006/8/8(火):高校生\r\n\r\n この生徒は,複数の赤ちゃんを一度に前にして戸惑い,初めは少し距離を置いて見ていたが,他の仲間がかかわり始める様子を横に見て,次第に自分から子どもに近づいていくようになった。事前指導は受けていても,その場で相手の子どもに対してどうするかはそのときの自分として精一杯考え,やってみるしかない。必然的に相手の子どもの様子をよく見て,相手の声や反応に合わせて,話しかけたり,モノを差し出したりするようになっていったと思われる。後で聞いてみると,おぶい紐でのおんぶも初めての経験であるとのことであったが,おんぶしながらお尻や背中をさすったり,窓の外や他の子どもの遊ぶ様子を見せたりと,短い問に相手の子どもとのペースをつかんでいった。\r\n 午睡中に別室で行われた反省会では,言葉が通じないこと,なぜ泣いているのか分からなかったことに対しては率直に困ったと述べながらも,子どもによって行動や気持ちの表わし方が様々に違っていたことに対する気づきが見られた。実際に乳児の保育室で,いろいろな子どもたちの姿を目の当たりにし,肌を通して経験することによってこそ感じ取ることが出来た気づきであろう。\r\n (4)家庭科教諭の立場\r\n 次に,生徒を送り出す側である中学校・高等学校の家庭科教諭からの聞き取り調査内容について振り返る。\r\n 1)A教諭の場合(市立中学校勤務)\r\n 今回の試行先中学校の家庭科教諭である。我々が,保育体験学習への参加・協力を働きかけることを通じてかかわっていく過程や保育体験学習実施後に行った聞き取り調査などから,家庭科教諭としての思いや中学校の抱える独自の状況が見えてきた。本教諭は,中学生にとっての「保育体験学習」の必要性については体験学習そのものの意義とは別に,興味を持っている生徒達が存在することから「でさればあった方がよい」と答えているが,市内の各中学校では,家庭科教諭1名で全学年の指導にあたっていることが多い現実があるなかでは,実際には「大変である」と躊躇も見せている。市内でも生徒数の多いマンモス校である本校で1学年の生徒たち全員に体験学習を計画・実施することは,時間的にも方法的にも困難が大きいとの認識であるようだ。また,公立校の宿命として,担当の家庭科教諭および校長の異動が避けられず,体験学習を継続することに関しても人が替わることで問題が生じる可能性があるという指摘があった。但し,「技術」分野との授業時間数のやりくりの中で困難はあるものの,保育体験学習を中学校の授業カリキュラムに位置づけていくことの可能性については肯定しており,「内容を精選していく」ことで対応していけるだろうという考えが示されている。\r\n 家庭科教諭と一口に言っても実は,養成課程での専攻は,被服,食物,住居,家庭経営および保育など様々であり,本教諭も保育が専門ではなかったことから,当初,保育分野のこの実習に関しては,我々の働きかけに対して幾分消極的な空気も感じられた。しかし,2年間継続して関係を続けていくうちに,生徒募集のためのポスター依頼や,実習当日の集合場所での待機など次第に共同・協力体制が作られていったことが重要な点であろう。実施依頼に対して内部からも校長・教頭の了解を得たり,生徒募集のために職員会・学年会での周知呼びかけを行ってくれたり,実習事後の体験者の意識調査との比較検討資料として非体験者である在校生の意識調査にも協力してくれたことは研究全体にとって大変大きな力となった。こうしたつながりが積み重なっていくことによって,乗り越えられる課題も実は多々あるように考えられる。\r\n2)B教諭の場合(県立高校勤務)\r\n 家庭科の授業内で保育体験学習を実施している県内の公立高校教諭から聞き取りを行った。平成18年度現在では,1年生が「家庭基礎」(2単位),2年生が「家庭総合」(2単位)を履修後,3年生になると「フードデザイン」か「被服製作」を選択(いずれも2単位)するようになっていた。B教諭のシラバス(平成18年度)から保育分野部分における学習内容を抜き出すと以下のようになる。\r\n 2年生の保育分野の学習は,保育実習の2時間を含め,全部で12時間をあてており,福祉の概念や乳幼児の身体発達,生活リズム,遊びなどについての講義を8時間行い,保育実習の前後で子どもをめぐる問題を考えるディベートの時間を2時間ほどとっているとのことである。前任教諭から続けて過去12年間ほど保育実習を行っているが,B教諭自身の専門が被服であるため,保育の専門的な授業展開については研究の余地を感じている。しかし,この保育体験学習を,高校生という,より大人に近い段階で行なうことの意義からみても,保育実習は今後も必要であると考えているとのことであった。\r\n 保育所訪問前後の生徒の変化について質問したところ,1回きりの体験であるので,それほど深い変化は見受けられないが,事後に提出してもらう自己評価用紙では,ほとんどの生徒が「楽しかった」「ためになった」という項目に高い評価をつけており,自分の思い通りにはならない子どもとの出会いは,自分とは違う感覚をもつ子どもとふれあう体験を通じて,生徒それぞれにいろいろなことを感じ考えさせ,彼らは,自分の幼児期を思い出したり,親や周りの大人への感謝の念を強めたりするようになる。\r\n この高校の体験先の保育所は,高校正門前から続く車の往来の少ない安全な一本道を10分程歩いた至近にあり,教師が歩きながら引率するには好立地にある。公立保育所であるため,所長の異動があり,同じ保育所でも所長によって保育のあり方や雰囲気が随分違ってくることがあるとのことだが,高校生の受け入れそのものに関しては,両者の関係の歴史のなかで恒例化している。但し,保育実習は,通常の高校の授業時間内では実施不可能であるので(例えば午後の時間割のクラスなどは保育所の午睡の時間と重なってしまう),他科目の教師に相談して,「授業交換」を行っている。この交渉が大変だということであった。\r\n 次に,実際にB教諭の授業の保育実習を見学した際の記録を以下にまとめる。\r\n なお,B教諭の高校は平成18年度の1年生より単位制となり,平成19年度からは,2年生の「家庭総合」は,「フードデザイン」「被服」と並んで「家庭総合研究」という選択科目になった。履修者は約240名ほどの生徒のうち70名ほどになっている。必修の強みで生徒全員に保育体験学習を行っていた以前とは状況が違ってしまったが,保育所でのふれあい体験を2回ずつに増やしたり,「子育て交流会」という育児中の複数組の母子を学校の和室に招く新しい試みを取り入れるなどその授業内容は,変化する状況に応じながらも充実する方向へと向かっている。\r\n3)C教諭の場合(県立高校,私立中学・高校勤務)\r\n 千葉県内でB教諭とは別の県立高校に,非常勤教諭として勤務しでいるC教諭の場合はどうであろうか。 1,2年生で全員が「家庭総合」を2単位ずつ履修後,3年生で「発達と保育」か「フードデザイン」を選択(いずれも2単位)する。平成18年度のシラバスでは,保育分野の学習は,2年生の3学期に年間46時間中,10時間くらいと,3年生通年のうちの30時間で行われている。なお,3年生で「発達と保育」を履修する生徒は例年20名前後である。\r\n 次にC教諭のシラバス(平成18年度)から保育分野部分における学習内容を示す。\r\n C教諭は,高校から片道徒歩15分程の公立保育所へ生徒たちを引率している。生徒は,1~5歳児の子どもだちとふれあい体験を行う。時間をおいて2回保育所を訪ねることにより,生徒は子どもたちが「覚えていてくれた」ことに喜び,2回目は「今度はこうしよう」などと乳幼児への対応を改善する機会を得られ,乳幼児に対してより深く理解するようになるとのことである。1回目の訪問ではほとんど子どもとかかわれなかった生徒も,1回目をきっかけにして2度目の訪問の際には遊びに入れるように変化する姿も見られる。1回目には,パネルシアターや劇などを披露し,2回目には手作り絵本を読み聞かせるが,子どもたちが真剣に聞いてくれたり,遊びを求めて積極的にかかわっでくれたりすることにより,生徒たちも支える側の喜びを体験し,そのことが自信につなかっている。保育士に対しても「すごい!」「すごすぎ!」といった感想が多く,子どもとかかわることの大変さ,責任の大きさを実感する生徒が多い。授業中には見せない生き生きした表情を見せる生徒がほとんどである。日頃眉毛を剃り,いかつい体格をしたある男子生徒も,保育園訪問後自ら積極的に保育所に連絡を取り,自分の得意な和太鼓を子どもたちに教えに通ったことがあるそうだ。また,保育所に入る前までは,「緊張する」「子どもの前で絵本を読むなんて無理」などと大騒ぎしていた生徒たちが,一旦実習が始まると意外とスムーズにかかわるとのことである。\r\n しかしその一方で,相手が幼児の場合,興奮して叩く・蹴る,女子生徒の胸を触る,高校生の身体的な特徴を言葉で指摘する,などの態度に生徒たちが戸惑うという姿も見られる。C教諭は,このような場合の対応の仕方や,心のもちようについては指導しておく必要性を述べている。\r\n 事後指導として,学校に戻ってからの授業で,体験中の写真を見ながら具体的な場面について教師が解説を行い,子どもの発達の特徴や保育園の役割を学ぶようにしているが,一連の授業を通して全て1人で行っているため時間的にも物理的にもC教諭の負担は大きい。中でも安全対策に配慮する必要が高く,近い距離とは言え,往復の生徒の安全や保育所での事故などに備え,保険に加入している。(保険は,学校で団体加入している本人の事故を保障するものに加えて,生徒が訪問先で器物を損壊したり,乳幼児に怪我をさせたりした場合に対応する賠償責任保険にも加入。)\r\n しかしC教諭は,このような授業実践を通じて育児や家事については現代特に男性の果たす役割を高めていく必要性を痛感するとともに,イメージが先行しがちな「子ども」や「保育」について,生身の乳幼児とふれあうことで少しでも実感する機会を得ることは大変貴重だと考えている。\r\n 以上の聞き取り調査を実施して言えることは,それぞれの学校にそれぞれの事情や状況が存在するなかで,保育体験学習の目的と意義を認識する家庭科教諭によってさまざまな苦労や工夫がなされているということである。保育体験学習実施にあだっての問題点は,一つには,授業カリキュラムにおける時間数や枠の制約および学内の理解と協力,また一つには,具体的プログラムの内容,そして連携先の保育の場の開拓と関係諸機関との連絡・調整などであることが分かった。白梅学園短期大学教育・福祉センター主催により平成16年度から「家庭科の保育と保育者養成の保育をつなぐシンポジウム」が毎年1回ずつ開催されているが,ここでの実践報告においても同様の課題を垣間見ることが出来る。平成19年度の報告のなかで,千葉県のある公立高校教諭が様々な独自の手法を駆使して連携先を開拓してきた実績を発表する際,開拓のポイントとして「乗り越えたいという思い」という点を発言していたが,まさに乗り越えるべき課題が種々ある現実に対してこうした教師の熱意こそ実現への原動力であることを証しているように思われた。\r\n(5)保育所の立場\r\n1)千葉県松戸市\r\n 先の試行で中学生・高校生の受け入れ先となった保育所について,公立園は異動前後の2人の所長から,私立園は副園長と主任保育士から,受け入れる立場としての考えを質問項目に添って聞いた。まず,保育体験学習の趣旨については,近年の保育所が有している子育て支援や次世代育成の役割・機能を発揮すべく日頃から十分に実践している各園であるので,すぐに賛同が得られた。各園ともに,この体験学習のねらいやスケジュールを職員間で共通理解するために,職員会での伝達を行っている。\r\n 次に,実施にあたって最も配慮した点は,乳幼児の衛生と安全,そして中学生・高校生が年齢による発達の違いを理解できるようなスケジュールを組むこと,感動を伴うような体験ができるよういろいろな場面を設定することなどが挙げられている。また,受け入れ日程を年間の行事予定および保育計画のなかで調整し,受け入れ人数についても検討を行うことが現場側の準備として重要事項であることが再確認できた。そして,乳幼児とのふれあい体験を通じて,排泄ひとつとってもおしっこが出たことを身体全体で喜ぶ姿を通して,生きている子どものすごさや人間の原点を感じて欲しい,子どもの小さな命は大人が守り育てるべきものであり,中学生・高校生自身もそのように守られ,大事にされて今に至っているのだという自己肯定感を覚えて欲しいという願いをもって受け入れていることが明確になった。さらに,こうして外部から中学生・高校生を受け入れることにより,体験学習後の感想や意見を職員間で共有し,日頃の自園の保育を見直すことにつながるので,職員にとっても保育への意識を高め,振り返る研修機能につなげることが可能となるとの考えも述べられた。\r\n 事前指導の内容や事後指導のもち方についても意見交換を行ったが,実施後に送り手,受け手の双方がこのように保育体験学習の中身について考えを出し合うことで,次のふれあい体験へ向けてのさらなる成果が期待できるであろう。\r\n2)神奈川県川崎市\r\n 本稿をまとめるにあたり,本学が位置する川崎市の中学生・高校生の保育体験学習の現状について知るために,市の健康福祉局保育運営課より許可を得て,公立保育園75園を対象としてアンケート謌査を行った。質問紙【資料3】,回答用紙それぞれ郵送にて依頼・回収を行い,調査期間は,2007年11月6日~12月6日であった。全回答園数は43園,回収率は, 57.3%である。 43園中,今年度中学生・高校生の受け入れをしていない園は2園のみで,そのうち1園は依頼がないため受け入れはないが,保育体験学習の意義には賛同している。また,家庭科の保育の授業で生徒を受け入れている園は,19園(回答園数のうちの44.2%)で,その全ての園が家庭科の授業以外でも,「職場体験学習」「総合的な学習の時間」「保育ボランティア」などで中学生・高校生を受け入れている。【図5】受け入れ先の中学校・高等学校名を尋ねた質問から,家庭科で受け入れている園の多く(15園,回答園数全体では28園)は,中学・高等学校いずれからも受け入れており,4園(回答園数全体では,8園)が中学生のみ,1園が高校生のみを受け入れていることが分かった。ふれあい体験の時間的長さについて,質問4から家庭科の授業の場合の実習時間がどの程度であるかを見ると,授業時間の関係からと思われるが,午前中の1~2時間が最も多くて9園,午前中2~3時間が2園,午睡後まではぼ1日が4園である。【図6-1】しかも,長時間実習で受け入れ時期が夏休みや冬休みでない場合があるため,学校側に詳細を確認する必要があるが,他科目との調整のなかで長時間をまとまって割り当てられるのは,学校内での協力や工夫がなくては成り立たないことであると思われる。これに対して「職場体験」では,「午睡後までほぼ1日」と答えている園が,全回答園のうち20園以上あり,保育園での保育士の職務内容について全般的に学ぶことが目的である実習との違いが反映されていると言える。\r\n 【図6-2】他に特徴的なこととして,家庭科の授業での受け入れ人数は,クラス単位(30~40名程度)が最も多く11園,12~20名が4園,1~5名が3園であるが,これに比べて「総合的な学習の時間」で20名程度,あ\r\nるいは30~40名程度の人数を受け入れているケースがある以外は,「職場体験学習」にしろ,「保育ボランティアやアルバイト」にしろ,1~10名の少人数が主流となっている。受け入れの時期としては,様々な形で中学生・高校生の受け入れを行っている各園と学校側の状況により一定していないが,1学期の5~8月頃,2学期10,11月頃が比較的多いようだ。年間の受け入れ回数で見ると,家庭科の授業での受け入れを行っている園では,[d.それ以上]の回答が,行っていない園【図7-2】で6園であるのに対し,12園と比較的多くなっており,中には20回という回答も見られた。家庭科の授業では受け入れ生徒数が多いという傾向から受け入れ回数も多くなると推察される。いずれにしても,保育園では中学生・高校生に対して様々な機会をとらえて園を拓いており,中学生・高校生の受け入れが保育計画の中に恒常的に位置づいていることが明らかになった。\r\n 次に,保育体験学習の内容であるが,どの園も挙げている項目は「一緒に自由に遊ぶ」である。実習の種類別に設問されていないため詳細は判断できないが,家庭科の授業での受け入れを行っている園群では,保育者が準備した活動(「園の先生が準備された活動」)にもほとんどの園が回答しているのに対し,行っていない園群ではこの項目にはほとんど回答がない。保育者が準備した具体的な活動例としては,ごっこ遊び,集団遊び,ダンス,ドッジボール,散歩,製作活動,プール,およびその日の指導計画に副った活動などである。実習の目的の違いから,職場体験では子どもと直接かかわらない仕事(保育準備の作業,保育士の手伝い)も取り入れられている。\r\n 自由記述式の質問部分では,受け入れる上での問題点や事前指導として必要と考えていることとして,挨拶・言葉遣い・座り方・身なりや服装・マナーといった基本的な点を挙げている園が多く,また,衛生・トラブル・怪我といった安全面(数園で,男子生徒の性的興味を不用意に煽らないよう排泄や着替えの場面に配慮していると回答。また,乳幼児へのかかわりに慣れていない生徒を前にして子どもたちが興奮してしまうことを指摘する園もある。),そして,受け入れ人数の多さ(全回答園のうち12園)などを指摘している。他には,交流の目的やねらいが不明確な生徒の受け入れへの疑問が挙げられているが,受身で仕方なくやってくる生徒に対しても交流を行うことの意味を前向きに捉えようとしている意見も見受けられる。(以上,質問11)\r\n 次に,保育体験学習の生徒にとっての意義,乳幼児にとっての意義を聞いている質問2では,少子化のなかで異年齢同士のかかおりが不足している現況から中学生・高校生が乳幼児にふれ,優しさや思いやり,相手を理解しようとすること,受け入れることなどを自分自身が実感し,体感することの重要性についてほとんどの園が述べている。反対に乳幼児にとっては,“お兄さん\u0027‘お姉さん”とかかおることの楽しさや大好きと思う気持ち・年長者への憧れなどの心情面を指摘した意見や,大人ばかりの環境で育つことの多い乳幼児の状況から社会性の育ちを認めた意見がほとんどを占めている。一方,少数意見として,園独自のしおりを作成して事前指導に役立ててもらっている,受け入れ人数の多さを保護者の見守りという方法で安全面を確保しているといった事例や受け入れに個々の園が対応するのではなく,事故の場合の責任の所在を明確にする上で区の子ども総合支援担当部局と学校との間の調整になっているとの回答もあった。\r\n なかには,乳幼児にとってはほとんど意義がないという厳しい見方も見られたが,社会における保育園の役割として保育園の存在価値を発揮するものであることが熱意をもって記述された文章もあり,保育園側は全般的に,受け入れについて困難や負担を抱えながらも,少子化時代の次世代育成支援として前向きに受け入れていこうとする姿勢があり,各園や学校のおかれている条件・状況に応じて努力していることがこのアンケート調査から得られたと言えよう。\r\nⅣ.まとめと今後の課題\r\n これまでの内容を総合的にまとめ,中学生・高校生の保育体験学習に関する検討課題としてどのようなことが言えるか考えてみたい。\r\n まず,実施自体にかかわる問題として,①実施の具体的方法②プログラム内容③関係諸機関との連絡・調整④安全の確保⑤体験の振り返りのあり方の5点を確認することが出来た。保育体験学習実施については,受け入れ先との協力が不可欠であるが,今回聞き取り調査やアンケート調査を行った松戸市・川崎市の現状から見て今の保育の場では,次世代育成の役割意識は大変高く,実質的な問題を除けば,協力への姿勢は十分得られている。但し,これを家庭科の授業カリキュラムのなかで全ての生徒を対象に実施しようとした場合,種々の条件や都合から困難が生じることになる。家庭科教諭の立場から言えば,他分野の学習内容も存在するところで,時間や手間のかかる保育体験学習をどのように組み込んでいくか,学内や協力先との連絡・調整を行うための時間調整や必要書類作成などの事務処理をどのように進めていくか,受け入れる現場の立場から言えば,保育の年間計画のなかにどう位置づけていくか,実際の受け入れのための準備や職場内での周知徹底や共通理解をどのように行っていくか,そして,送り手・受け手双方の問題として実施にかかわる問題点について,反省・検討を重ねていく互いの関係性をどのように築いていくかという課題が存在するということが言える。\r\n 一方,国の施策としては,現在の日本の子どもの育ちや子育ての現状から,生涯学習を含めた教育・保育・福祉・保健など,どの行政分野においても,中学生・高校生と乳幼児とのふれあい体験は推進の動向を示し続けていることが分かった。しかし,例えば先に見たように今年度から実施の「放課後子どもプラン」のように各行政分野での動きが連動していく方向性は,端緒についたばかりの感がある。また,これだけ次世代育成が叫ばれ,ふれあい体験の推進が謳われていても,現在進んでいる学習指導要領改訂に見るように,いわゆる主要科目の時間数は増えても,中学校の技術・家庭科,高等学校の家庭科についての時間数は変わらず,体制としての変化はなかなか難しいようである。各校1名か2名ずつしか配置されない専科の教師が独自に体験学習のプログラムを実施することは,負担や困難も大きく,学校を超えた横のつながりや情報の共有を是非強化してさまざまな試みや工夫を共有していきたいところである。筆者自身の実践の試行や先行研究などの実践事例からは,体験先を幼稚園や保育所に限定せず,子育て支援センターや保健センター,児童館,地域の親子に呼びかけるなど,現場での工夫や試みから逆に地域との様々な連携が実現する可能性に期待できるところが大きいのではないかということが見えてきた。この点から言えば,地域のなかの保育者養成校として次世代育成事業に対して,大学がどのような役割を果たしていけるかということもまた,今後の大きな課題であると考えられる。\r\n*謝辞*\r\n 本論を筆者の「家庭科における保育体験学習」という研究的関心に絞ってまとめるにあたり,研究員として活動していた研究グループの皆様にお許しを頂いたことに心より感謝申し上げます。また,実践や研究の過程で,保育園・中学校・高等学校の諸先生方にお忙しいなか種々ご協力を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。\r\n脚注・引用文献\r\n1)研究全体は,平成15年度~19年度の5年間にわたって私立大学学術研究高度化推進事業として行われている。\r\n 筆者は,第1部門の第1グループ「中学生・高校生の育児体験学習プログラムの開発」の研究員であった。生徒の意識調査や具体的な実施状況などは,平成16~17年度の研究成果報告書にまとめられている。本論文では主に,家庭科教育における保育体験学習について焦点をあてて実践を検討している。\r\n2)田園調布学園大学紀要第1号, 2006年 154ページ\r\n3)古橋和夫編「教職入門未来の教師に向けて」萌文書林,2007年 146~148ページ\r\n4)原田正文「子育ての変貌と次世代育成支援」名古屋大学出版会,20(拓年 服部祥子,原田正文「乳幼児の心身発達と環境大阪レポートと精神医学的視点」名古屋大学出版会, 1993年 原田正文「育児不安を超えて思春期に花ひらく子育て」朱鷺書房, 1993年 原田正文「子育て現場の実態に即した次世代育成支援策を!『大阪レポート』から23年後の子育て実態調査『兵庫レポート』が示すもの」,『発達』第26巻101号,ミネルヴア書房, 2005年 24~27ページ\r\n5)財団法人子ども未来財団「平成15年度子育てに関する意識調査」2004年12月\r\n6)財団法人日本女子社会教育会(現財団法人日本女性学習財団)「家庭教育に関する国際比較調査」1995年\r\n7)岡野雅子「青年期女子の子どもに対するイメージ」 日本家庭科教育学会誌,第46巻第1号,2003年\r\n8)伊藤葉子「中・高校生の親性準備性の発達と保育体験学習の教育的効果の検討」乳幼児教育学研究叺乳幼児教育学会, 2004年 1~12ページ,「中・高校生の親性準備性の発達と保育体験学習」風間書房, 2006年 25~29ページ\r\n9)金田利子「育てられている時代に育てることを学ぶ」新読書社, 2003年\r\n10)厚生労働省ホームページ「実績評価書及び事業評価書の公表について」 http://www.mhlw・go.jp/wp/seisakii/jigyou/02jigyou-k/47.htmi ("}]}, "item_creator": {"attribute_name": "著者", "attribute_type": "creator", "attribute_value_mlt": [{"creatorNames": [{"creatorName": "矢萩, 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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||
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公開日 | 2013-01-21 | |||||
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タイトル | 次世代育成としての乳幼児とのふれあい体験 : 中学生・高校生の「保育体験学習」に関する実践の検討 | |||||
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タイトル | The Interactive Experience of Junior and Senior High School Students with Infants Focusing on raising their Parental Mentality : A Study of Practice Concerning about their Experience in Hoiku, early Childhood Care and Education | |||||
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言語 | jpn | |||||
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主題 | 次世代育成 | |||||
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主題 | 保育体験学習 | |||||
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主題 | ふれあい体験 | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||
著者 |
矢萩, 恭子
× 矢萩, 恭子 |
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著者別名 | ||||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
識別子 | 218 | |||||
姓名 | Yahagi, Yasuko | |||||
抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 本研究は,家庭科教育の保育体験学習に関する先行研究や乳幼児とのふれあい体験に関する国の施策などにより「次世代育成」および「子育て理解教育」という観点を得て,筆者が平成16年度から18年度までの3年間にわたって「聖徳大学生涯学習研究所学術フロンティア推進事業第1部門」の研究員として実際に実施した中学生・高校生による保育所での保育体験学習の実践を見直し,検討課題を導き出そうとするものである。先行研究からは,現代の子育てに対する養育者の不安な状況が,乳幼児とのふれあいや接触の経験の欠如を要因として由来するものであることが確認され,そこを補うものとして家庭科教育の家族や家庭・育児に関して学ぶ単元における保育実習,すなわち保育体験学習の実施の重要性がより一層高まっていることが読み取れた。また,保育体験学習のプログラム開発のために3年間にわたって行った保育体験学習の実践を通じたエピソード事例,生徒の意識調査,保育所や家庭科教諭からの聞き取り調査,さらに今回新たに川崎市の公立保育園に対して行った実施状況調査などを通じて,保育体験学習の実施にあたっては,(1)実施の具体的方法(2)プログラム内容(3)関係諸機関との連絡・調整(4)安全の確保(5)体験の振り返りのあり方が主な検討課題として存在することがより明確になった。今後は,地域連携の実現に向けてこの保育体験学習に対する保育者養成校としての役割をさらに追究していく必要性が求められていると思われる。 | |||||
書誌情報 |
田園調布学園大学紀要 en : Bulletin of Den-En Chofu University 巻 2, p. 125-153, 発行日 2007 |