WEKO3
アイテム
{"_buckets": {"deposit": "8ed30adf-8a66-46e3-9fba-0c82db2e5aaf"}, "_deposit": {"created_by": 14, "id": "6", "owners": [14], "pid": {"revision_id": 0, "type": "depid", "value": "6"}, "status": "published"}, "_oai": {"id": "oai:dcu.repo.nii.ac.jp:00000006", "sets": ["12"]}, "author_link": ["169", "46", "168", "167", "45", "166"], "item_10002_biblio_info_30": {"attribute_name": "書誌情報", "attribute_value_mlt": [{"bibliographicIssueDates": {"bibliographicIssueDate": "2007-03-17", "bibliographicIssueDateType": "Issued"}, "bibliographicPageEnd": "49", "bibliographicPageStart": "33", "bibliographicVolumeNumber": "1", "bibliographic_titles": [{"bibliographic_title": "田園調布学園大学紀要"}, {"bibliographic_title": "Bulletin of Den-En Chofu University", "bibliographic_titleLang": "en"}]}]}, "item_10002_description_28": {"attribute_name": "抄録", "attribute_value_mlt": [{"subitem_description": "社会福祉教授法においては様々な教育がなされている。しかし,ケアは実践の学であり,座学で学ぶことの困難さを意味している。このような視点から,理論や知識をどのように吸収し,学生自身の認識構造に収め,ケア実践時に取り出すことができるのか。このような疑問からスタートして,教育内容はより理論に裏づけられ,分かりやすい知識として理解できるのか。実際にケース事例を使ってトレーニングするなど教育実践を試みた。教育実践の方法論として,グループワーク方式を取り入れ,学生自ら学習に取り組み,学生自身の学習の消化吸収をねらいとした。平成18年前期の「介護技術III」の授業でその試みを実践し,若干の示唆が得られたので報告する。", "subitem_description_type": "Abstract"}]}, "item_10002_full_name_26": {"attribute_name": "著者別名", "attribute_value_mlt": [{"nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "169", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}], "names": [{"name": "Fujimoto, Suemi"}]}, {"nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "45", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}], "names": [{"name": "Masuda, Idumi"}]}, {"nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "46", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}], "names": [{"name": "Kawaguchi, Tomohisa"}]}]}, "item_10002_textarea_29": {"attribute_name": "内容記述", "attribute_value_mlt": [{"subitem_textarea_value": "社会(介護)福祉教授法の検討\r\nI はじめに\r\n 「多くの人は,自分の経験と見聞から修得した行動パターンを自分で行う。多くの社会福祉援助関係職員は,大学などで知識として学んだことよりも,大学などで体験に基づいて実践をしてしまう。したがって社会福祉の教授過程は,理論や知識としての内容も大切であるが,その理論や知識のひとつの実践課程である教授方法が重要である。」1)と川廷は述べている。このことは,社会(介護)福祉教授法(以下介護福祉教授法)を検討する必要性を語っている。\r\n 殊に,介護福祉士資格取得は,社会制度としての2年間の修業期間が定められており,これらの2年間の修業期間と,同様の修業期間の内容が4年制の大学にも求められている。従って大学の余裕となる2年間を,如何に介護福祉として充実した修業期間とするかが問われる。現状では,介護福祉士の国家資格を取得できると同時に,社会福祉士の国家試験の受験資格も取得可能である。\r\n また,第一期の卒業生の意見から,ある学生は人を支援するには,ミクロな介護福祉的な視点とマクロな社会福祉的な視点が必要だろうと思い,介護福祉専攻を選んだと述べている。またある学生は,就職体験で最初は何の仕事に就きたいか,就職活動は何をしたらいいのかまったくわからなかったとしているが,3年の後期頃より,「早く広い世界に触れ,行動しよう」として,人に喜んでもらえる仕事がしたい,それが福祉だと方向がみえてきて,福祉企業で働きたいと自分の意思が確認できたと述べている。\r\n このように4年間の学生生活の中で,介護福祉の教授過程として理論や知識としての内容を基礎として,福祉(介護)のその理論や知識の1つの実践課程である教授をどのようにできるかが課題である。\r\n 今回は,介護福祉について焦点をあてて検討をする。介護福祉が重要視しなければならないのは,直接ケアを行うことについての考察が必要である。いずれも実践的ケアと教授の中でケアを同じ土俵で,細やかなケアが実践できるように思考し教育全体の内容をよく組み立てる必要がある。介護福祉士とはどのような職種なのか,介護福祉の専門職と言われるその判断領域をどのように設定し,それらの判断ができるように現状の教授内容・何を,方法・如何に教育することなのかについて追求を試みた。\r\n 介護の専門性としての判断が求められる教科目「介護技術Ⅲ」(介護過程)をとりあげた。「介護技術Ⅲ」は,主に障害者や高齢者へのケアを考えるうえで,ケア計画の立案・実施・評価について学習する。従って,学生のケアの認識構造を創ることが必要であり,「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」過程としてとらえた。このような観点から,教科目の内容と方法について検討を行うことで,学生の認識構造にどのように接近できるのかについて検討を加え,若干の示唆が得られたので報告する。\r\nII 研究目的\r\n1 学生のケアの認識構造を創る「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」学習の内容を検討する。\r\n2 学生のケアの認識構造を創る「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」学習の方法を検討する。\r\nⅢ 研究方法\r\n1 検討および調査期間 平成18年1月~12月\r\n2 検討および調査対象\r\n (1)介護福祉教授法における「介護技術Ⅲ」の教育内容および方法の検討\r\n (2)平成18年度前期,介護福祉専攻「介護技術Ⅲ」を受講した2年生の学生42名の参与\r\n 観察\r\n3 分析方法\r\n (1)「介護技術Ⅲ」の教育内容および方法の検討経過を吟味した。\r\n (2)シラバスを中心に教育内容,方法を検討して,「介護技術Ⅲ」の15コマ(1コマ90分)の展開を図り,教育実践した経過を分析した。\r\n (3)介護福祉専攻前期,「介護技術Ⅲ」を受講した2年生の学生40名の参与観察による記録を中心にあらゆる角度から,検討と分析を加えた。\r\n4 論理的配慮\r\n 研究における教育場面において授業の進行に協力した学生には,学習としての進度や内容に困惑や迷惑がおこらないように配慮すること。細心の注意をはらって授業の進行につとめること。また,得られたデーターについては研究以外には使用しないことを約束した。\r\nV 結果\r\n 1 教育内容および方法の構成要素(表1)\r\n (1)教育内容の構成要素として,①教育内容としてテーマを決定すること,キーワードを設定すること。②教育内容をシラバスをとおして明らかにすること。③教育内容に関する資料を充分に吟味して用意すること,関連する教育媒体を吟味すること。\r\n (2)教育方法の構成要素として,①教育する側として教育の場づくりを考慮すること,運営に配慮すること,ハプニングへの対応を考慮しておく。②教育の受け手(学生)として,アサイメント(事前学習)および教科書の読みを,徹底させる習慣をつけること,疑問が提出できる状態にあること。③教室,授業の運営について,①および②が同時進行となる授業の運営に関しては,90分の時間配分をよく考慮の上準備すること。\r\n表1 教育内容および方法の構成要素\r\n 2 教育内容の検討\r\n (1)「介護技術Ⅲ」の教科のカリキュラム上の位置づけ(表2)\r\n 介護技術Ⅲは2年前期に配置されている。つまり,ケアに関しては「介護概論」「介護技術I」を終了し,ケアに対してイメージが創られ始めたところである。この段階でケアの中核となる認識構造を創るということである。学生の学習に対する受け入れ態勢を充分に配慮する必要性がある。\r\n表2 当学における介護福祉士の教育課程における「介護技術Ⅲ」の位置づけ\r\n (2)シラバスの検討(表3)\r\n シラバスの内容および構成については,「何を」教育内容として取り入れるかが重要であると考える。「介護技術Ⅲ」においては,教科書となるものは1冊が出版されている状況である。この内容としては,使用されている用語の説明と他の隣接の学問領域からの援助過程を参考として,介護にも過程があること6)を繰り返し述べている。つまり,援助の方法にとどまっており,介護における援助とは「何を」「どのように」考えて,「なぜ」その援助内容を構成するのかを明らかにすることなく,援助過程を経ることによって,一連のプロセスを展開する。つまり,考え方や内容としての枠組みが提示されないまま,援助計画が提示される状況であった。\r\n そこで,シラバスの枠組みについて考慮することが重要である。学んだ知識や理論枠組みは,介護福祉援助過程で使えなければ学んだ意味がないと考える。理論枠組みを教えるということは,その実践過程と密接につなげて,実際場面で使えるようにさせながら展開しなければならない。\r\n 対人援助の一環としての教育と介護福祉援助は非常に似た側面をもっている。介護福祉援助について教授する時のその教授過程は,介護福祉援助の理論的枠組みの実践過程として学生に受け止められると考える。\r\n シラバスの展開に関しては,テーマの確認,キーワードの決定,アサイメントの表示,教育方法の選択は欠かせない。\r\n表3 介護技術Ⅲのシラバス\r\n (3)ケア過程を考えるモデルの抽出(図1)\r\n そこで今回,介護過程を考えるに当たって「ICF : 国際生活機能分類」(WHO:2001)モデル2)を取り上げることにした。ICFモデルは,2002年にWHOが提案した障害の概念で,障害を健康とは別のカテゴリーにおくのではなく,すべての人間が多次元的な連続体にいると位置づけている。我々すべてが健康の衰えと障害を経験する。障害はマイノリティの問題ではなく,すべての人間の問題である。図1に示すように,すべての人間が「心身機能・構造,活動,参加」のレベルで機能していると考える。\r\n この考え方を介護・ケアに応用転用して, QOLをめざしたケアを考える上での1つのケアモデルとして取り上げることにした。\r\n図1「ICF:国際生活機能分類」(WHO:2001)モデル2)\r\n (4)「ICF : 国際生活機能分類」(WHO : 2001) モデルを中心にケアの過程をつくる\r\n 「ICF:国際生活機能分類」(WHO:2001)モデルは,障害における概念の医学モデルから脱却し,生活モデルとして捕らえられている。従って,「ICF : 国際生活機能分類」(WHO:2001)モデルは,生活モデルとして捕らえ,「対象者のQOLを目指した生活過程を整えるためのケア過程」として捉えなおし,図2のようにケア過程を展開することにした。\r\n 1)生活過程を捉える\r\n ①最初に「心身機能・身体構造」をあげている。これらの生命過程である事実を把握する。この生命過程の維持・良好な状態をつくることが,まず大切である。\r\n ②次に「活動」をあげている。これらは一日の生活を形成する大切な要素で生活過程として捉えることができる。殊に日常のケアの中核をなしている。\r\n ③さらに「参加」は,全人間的に利用者,患者(高齢者),障害者の「生きる」ことの全体を捉えることが可能になるとしており,いわゆる社会過程として把握することができる。 \r\n2)健康状態を把握する\r\n 「健康状態」はすべての生活過程に影響をおよぼし,また,生活過程のありようが健康状態に影響をおよぽす。従って,相互の関わりが日常生活の中でどのように行われているのか,また,利用者のかかわりに関する認識が大きく左右するものと思われる。\r\n 3)個人因子,環境因子に関して\r\n 「個人因子」や「環境因子」は生活過程に大きく関わり相互に関係する。殊に生活過程を支えるのは,「環境因子」の中でも家族が大きく関わり,地域の資源がそれらを支える。\r\n このように1つずつを取り上げて考えることによって,その相互の関係性の中で,利用者の生活上のケアのあり方が分析でき,介護上の課題がみえてくる。\r\n図2「ICF:国際生活機能分類」(WHO : 2001)モデル・生活モデルにおけるケア過程\r\n (5)「ICF : 国際生活機能分類」(WHO:2001)モデル(生活モデル)の背景となる理論の考え方を探る\r\n 1)廃用症候群および健康増進の考え方について\r\n 廃用症候群め諸症状である,局所性廃用症候群,全身性廃用症候群,精神,神経性廃用症候群等の状況をよく把握し,理解した上で,利用者の状況に応じて,日常の生活やケア活動にどのように活かすかが重要である。\r\n 2)リハビリテーションについて\r\n すべての人々の問題であるとした障害の概念も,医学モデルから生活モデルへと変化してきている。つまり従来は,脳卒中発症,骨折者などを主な対象として,生活機能低下予防としての脳卒中モデル(医学モデル)での対応であり,現在では高齢者,要介護者を対象として廃用症候群,変形性関節症などを対象として,早期発見,早期対応で生活機能低下を行う廃用症候群モデル(生活モデル)での対応としている。\r\n 従って,リハビリテーションは理学療法士による専門領域として考えられていたが,生活モデルでは,理学療法士による指示のもとに,日常生活の中やケアの中にどのように取り込むかが大きな課題となってきた。\r\n 3)介護予防の考え方について\r\n 「生活機能低下の悪循環から良循環への転換を図ることである」ICFモデルではこのように述べている。この認識を実現のものとするためには,その悪循環を断ち切る具体性を介護計画の中で明らかにし,毎日のケアの実践の中で展開され続けることによって良循環への転換が図れると考える。したがってこれらの考え方が介護現場で実践され,介護状態が維持または改善されることが介護予防の考えかたである。\r\n (6)ケアとは何か,ケアの専門性とは\r\n 中島は,「介護とは健康や障害の程度を問わず,衣,食,住の便宜さに関心を向け,その人が普通に獲得してきた生活技法に注目し,もし身のまわりを整える上で支障があれば介護するという独自の方法でそれを補い支援する活動である。」3)と述べており,独自の方法については具体化できていない。西村は,「ケアワークとは高齢者及び障害者(児)等で,日常生活を営むのに支障のある人々が自立した生活を営み,自己実現が図れるように対人援助,身体的,社会的,文化的生活援助,生活環境の整備等を専門的知識と技術を用いて行うところの包括的(総合的)日常生活援助のことである。」4)と定義しており,包括的(総合的)日常生活の援助の具体性にかけている。三好は,介護の専門性とは何かとの問いに「生活の活性化」をあげている。しかし,どのように考えられるかについては述べていない。金井は,「ケア(看護・介護)とは,人間の身体内部に宿る自然性,すなわち健康の法則(=生命の法則)が充分にその力や機能を発揮できるように,生活過程を整えることで,それは同時に対象者の生命力の消耗が最小になるような,あるいは生命力が高まるような,最良の条件を創ることである」5)と述べている。さらに,対象の見つめ方として5点をあげ,中でも「生命過程」「認識過程」「生活過程」「社会過程」「自然課程」を整理して,現状の把握と整えること,相互の影響について述べ,対象の生命力の消耗を最小にするよう行うことを含んでいるとしている。\r\n 当検討では,金井氏の考え方を対象者の自立を支える考え方の具体性としてとりあげ,その手順をおって,ケア内容を組み立てることにした。\r\n (7)介護過程について(図3)\r\n 以上, (1)~(6)の内容を構成しながら,計画立案,ケアの実施,評価といった一連の介護過程を構成する。\r\n図3 介護過程6)\r\n 3 教育方法の検討\r\n (1)授業を行う教室について\r\n アリエスは,「『学級』というコトバは,もとは『分かれた囲いのうちにいる子どもたち』を意味するものだった」7)と述べておりさらに,「『異質な生徒がごたまぜにされていた』」7)として,「学級は,このような難易度の異なるものを同時に同じ場所で教えるような方法から,だんだんと生徒や年齢や発達に従って段階的に階梯を進んでいく方法へと移行していった結果生まれた教育の単位である。」7)と述べている。日本でも1891年に学級が編成されている。この学校における空間配置は,明治になってから西洋の学校をモデルとしてつくられ現在に至っている。\r\n 当研究で,教育方法を検討するに当たって,「介護過程」を教授するという特質から,教育内容をより学生自らが学習するために,教育内容は勿論のこと,教育方法の工夫が必要なのではないかと考えた。\r\n (2)学級空間の変容の試み(図4・図5)\r\n 学習形態に「かくれたカリキュラム」があるとして,「ウォーカーダインは,教室のモノの配置を中心的にかえた教室を伝統的な教室と比較した興味深い研究を行っている。」7)これによると,「伝統的な教室」から「自主的学習のための配置換えした教室」へと変更している。ここでは,教師の授業を聞くスタイルの机の配置から学生がグループごとに学習を進めていくスタイルにかえられている。\r\n この例に習って,「従来型教室内配置」から「自主的学習用教室内配置」を試みる。当教科では,介護過程を考え理解を深めるために,新たな思考モデル「ICF : 国際生活機能分類」(WHO:2001)モデルや介護をあらゆる角度から,理論武装したいと考え,「廃用症候群および健康増進の考え方について」「リハビリテーションについて」「介護予防の考え方について」「ケアとは何か,ケアの専門性とは」を盛り込んだ。さらにこれらの理解を深めた上で,実践活動にこれらの学習が活かされるように「事例検討」をすることにした。 15コマで消化吸収するには膨大な情報量である。これらをこなすためには,一人で行う学習には限度があり,同じ情報を共有できるメンバー間での情報のこなし方が相互に伝えられて,学習が進むのではないかと考えた。\r\n図5「自主的学習用教室内配置」\r\n図4「従来型教室内配置」\r\n(3)自主的学習用教室内配置および授業展開について(図5,表4)\r\n当検討では,自主的学習用教室内配置をとりあげた。この教室内配置は,グループ学習を原則とした学習方法である。この方法は,達本によると「クラスのレベルや学科の別に拘らず,少人数グループの中で学習者全員が互いに協力しあわなければ課題が達成できない状況をつくることによって,学習の相乗効果を引き出し,個人単位の学習を基本とする授業及び個人間の競争を基本とする授業よりも学習効果の上がる授業法である」8)と述べている。\r\n そこでこれらの教室配置を有用に使って授業を展開する。授業の展開においては,①基礎知識の獲得の段階では,ケア実践への過程を明らかにする考え方と考えを構成する用語の意味内容について,アサイメントを指定し自らレポートを書いてくることを課題とする。さらにこの課題は,グループメンバーの中で発表し学習の内容や成果を確認しあう。②用語の知識から理解への段階では,さらに「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」ために,情報をパワーポイントに整理し講義の中で集中して「今日のポイント」を提供する。情報を提供した後にさらに,グループ内での討議を行い,話し合うことでグループメンバーが相互に知識から理解へと深める。③ケア実践イメージの展開の段階では,「今日の授業のまとめ」として,自ら獲得した学習内容をリアクションペーパーA4を1枚に小レポートとしてまとめさせる。\r\n表4 授業の展開\r\n (4)教育内容に関する資料の準備(図4)\r\n 教育内容に関する資料については,①基本的内容に関しては,パワーポイントに整理した資料を提供し,講義をとおして理解を深める。②その他必要とした資料に関しては事前にコピーをするなど用意する。③教育媒体に関しては,ビデオ教材など日常生活の中で収集し用意を行う。\r\n図6-1 基本的内容の提示(例)\r\n4 教育の実際\r\n(1)授業の結果\r\n1)授業風景(図7)\r\n図6-2 基本的内容の提示(例)\r\n図7 学習用机の配置およびグループ編成による授業風景\r\n 一方的な教員の教授(学生にとって受動的な授業)ではなく,学生が能動的に授業のテーマを理解し,推し進めるために,学生同士のグループ討議を含む小グループ制によるグループワークの手法を採用した。グループ編成は,①介護福祉専攻2年生,42名(男性15名,女性27名)を教室の大きさ,座席や机数,グループ討議のしやすい人数を考慮し,名簿より無作為で作成した1グループ男女混合の5~7名の7グループ編成とした。②教室内のグループ位置は固定だが,各自の座席はグループ内で自由に決めた。③グループ内には,アサイメント,リアクションペーパー提出や評価後のリアクションペーパー返却を担当するリーダー1名をメンバー内で互選した。\r\n2)出席率(表5)\r\n15回の授業出席率は概ね80%~90%と良好であった。\r\n表5 出席状況表\r\n 3)授業の進め方およびグループ討議状況及び学生の反応(表6,表7)\r\n 授業の進め方およびグループ討議状況については,実際の授業形式はグループ討議とした。アサイメントは毎回の授業にむけて事前に学習して,レポートにまとめてくることにした。授業の形式はグループの形のまま進行した。必要に応じてビデオなどの媒体を視聴した。グループ討議状況をみると,1~4回ではグループ学習を受け入れる段階で,5~9回ではグループ内での意見交換が活発に行われるようになった段階,そして10~15回では,グループ内での意見交換や情報が発展して学習がすすめられて行った段階で,効果的な学習がおこなわれるようになった。\r\n グループ学習における学生の反応については,第5回目の授業で授業方法に対する学生の意見をきいたところ,①アサイメントの学習については,肯定的意見として理解しやすくなり授業にスムースに入れるなどがあった。否定的意見としては毎週はつらい,混乱し分からないことが多い,資料を写しているだけという少数の意見があった。②教員の配布資料(パワーポイントによる教員作成資料)については,肯定的な意見として資料の活用としては有効である,板書の時間短縮があげられた。否定的意見としては,分かりづらい,板書を希望する意見や資料が多すぎる,説明が足りないなどが二,三みられた。③グループ討議については,話し合うことで理解度が増すこと,他の様々な意見が聞けるなどの肯定的な意見があった。しかしメンバーに問題があり話しづらい,参加しない人がいる,学びが共有出来ないなどがあった。④リアクションペーパーについては,授業中や終了時に「書くこと」で整理や確認が出来る,理解度が増す,まとめになるなど肯定的意見がみられた。否定的な意見として授業内容が理解できない時がある,もう少し書く時間が欲しいなど,授業内容と記入時間についての意見があった。⑤その他の意見には,面白い学習スタイルだと思う,授業が楽しく飽きないと肯定的に捉えているものがいる。授業の説明や資料が理解できない,話し合う課題が不明確である,グループ内で話しづらいなどの意見があり否定的に捉えていた学生もいた。\r\n (2)授業の評価\r\n表6 授業の進め方およびグループ討議の状況\r\n注 アサイメント項目の中の(p)については,教科書とした「介護課程」6)のページを示す。\r\n 討議のリーダーは,事前課題の内容を理解している学生,授業テーマの理解ができた学生など,自分の言葉で他者に具体的に伝えることのできる学生が,概ねグループ内の知識伝達をしていた。しかし,リーダーの理解不足やグループメンバーに他者への依頼心が強いなどの傾向があると,グループ内の理解達成度が低く,または統一されにくい状況があった。また,グループ内討議の発表の場が少ないと小グループの理解が,1クラスの理解にはなりにくい傾向があった。\r\n表7 学生の反応\r\nVI 考察\r\n 1「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」学習内容の検討について\r\n 授業における学習内容は非常に重要である。「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」学習内容について一つには,ヶア過程を具体的,理論的にどのように示すことができるか。二つには,ケアをより具体的,理論的にどのように示すことができるのかが課題であった。\r\n (1)ケア過程を具体的,理論的にどのように示すことができるかについては,教科の内容全般をとおしてその理解と実践への道筋が分かれるところである。しかし今回,ケア過程を考えるモデルとして,「ICF : 国際生活機能分類(WHO:2001)モデル」を生活モデルとして抽出できた。このことにより生活現象を中心に,「生活過程」を中心に把握することで,「健康状態」,「個人因子」,「環境因子」との関連で生活の全体像を把握でき,教育の手順を進めることができた。\r\n (2)ケアを具体的,理論的にどのように示すことができるかについては,様々に表現されており,教育する側の納得がいくまでには至らなかった。しかし,当検討の最終段階で金井氏5)のケアの理論にたどりつき,ケアの実践への具体的な足がかりを得ることができた。ここで繰り返し転載すると「ケア(看護・介護)とは,人間の身体内部に宿る自然性,すなわち健康の法則(=生命の法則)が充分にその力や機能をはっきできるように,生活過程を整えることで,それは同時に対象者の生命力の消耗が最小になるような,あるいは生命力が高まるような,最良の条件を創ることである」5)と述べている。この理論に沿って,ケアの実際を考え,計画し,実践することを学んだ。\r\n (3)このようにケアの手順が明らかになったことで,ひとつずつ学習内容を明らかにすることができた。\r\n 2「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」学習方法の検討について\r\n 当研究で,教育方法を検討するに当たって,「介護技術Ⅲ」を教授するという特質から,教育内容をより学生自らが学習するために,教育内容は勿論のこと,教育方法の工夫が必要なのではないかと考えた。そこで,「授業を行う教室について」「学級空間の変容の試み」を検討し,「自主的学習用教室内配置」にたどりついた。 (1)「自主的学習用教室内配置」については,「かくれたカリキュラム」といわれ,「学校空間を意味空間としてつくっていくのはその場を共有する生徒,教師の具体的なコミュニケーションだということ」7)をわすれてはいけない。また,生徒は受動的な存在ではないことを充分配慮する必要があると考える。\r\n (2)学生のグループ学習状況\r\n この課題に取り組むにあたって,アサイメントを提示した。学生は自ら学習に取り組み,指定した教科書,既存の教科における学習内容,図書館の関連書籍,インターネット等を用いて調べ,情報を整理してレポートにして提出した。アサメントの内容は,授業の構成の中で,グループ内での発表を行い,各自の事前学習のレポート内容を交換し,グループ討議をする中で,考え方や用語の意味内容を確認できた。また,「このように課題を達成するためには,常にグループメンバー全員の努力が不可欠であること。つまり,一人でも努力を怠れば,グループ全員が課題を達成できない状況であること。」8)と述べているように,共同学習による効果が現れているのである。このように「互いの学習を促進するために,学習者同士が向かい合って相互に影響しあうこと。言い換えると,助け合ったり,励ましあったり,互いの努力や良いところを褒めあっりすることによって,学習者が互いに進歩を促進する機会があるということである」8)としており,この状況がグループ討議の実際として効果を生んでいる。このグループ討議のメンバー数としては2~6名の範囲内が良いとされているが,当研究では1グループを5~7名で構成しており全員討議に参加していた。\r\n (3)学生の反応\r\n コマが進むにしたがって,授業展開の中で学生の学習のスタイルが定着するようになっていった。シラバスを積み重ねている意味や,新しい知識の学びから「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」必要性の学びへと展開していった。この経過を達本は「グループ学習によって,各メンバーが独力でも同様の課題をこなす能力を養って行く過程でもある」8)と述べており,この体験をとおして,学生の学習意欲が向上して行く様子が見て取れた。シラバスの最終段階では「ケアの実践への過程を明らかにし構造化する」で獲得した知識と理解が深まり,実践事例をもとにケアの実践イメージをした展開ができるようになった。\r\n このようにして,学生の自主的な学びや,認識構造が変化していった。\r\n (4)学習効果\r\n 平成17年1月から始まった,当研究の取り組みは,思考錯誤の連続であった。しかし,授業の回数が進むにつれて,学生の討議への参加の態度が変化し,グループ間に活気が生まれ,いきいきとした自主的な学習スタイルがみられるようになった。グループの中には必ずしも理解が深まらないメンバーもいたが,相互に教えあい,学びあうということが,学習効果をたかめる大きな要因であった。\r\n こうした学習法はひとつの方法論として有用であると考えられた。\r\nⅦ おわりに・今後の課題\r\n 当研究は,「介護技術Ⅲ」という,介護の考え方とその実施のケアの中核となる教科内容となっており,教育する側の困惑からスタートした検討であった。丁度,平成18年度の授業改善委員会でも授業のあり方の検討の必要性が話題となったところであった。このことがきっかけとなって,介護福祉教授法について検討を始めるよい機会であった。はじめての取り組みであり,今後さらに学生の主体的な学習の取り組みを目指して,検討を積み重ねていきたい。\r\n 最後に,授業に協力的に参加して,ワイワイとにぎやかにしかも,集中するときは一生懸命にレポートを書きつづけてくれた学生に支えられて,本稿をかきあげることができたことに感謝したい。\r\n\r\n〈参考引用文献〉\r\n1)川延宗之:社会福祉教授法 川島書店 P1\r\n2)日本介護福祉士養成施設協会:介護技術講習テキスト 2005 P14\r\n3)中島紀恵子:介護概論 中央法規 1997\r\n4)西村洋子:介護概論 誠信書房 1990\r\n5)金井一薫:KOMI理論 現代社 2005\r\n6)石野育子:介護過程 メヂカルフレンド 2006 P26\r\n7)岩永雅也・稲垣恭子:教育社会学 放送大学教育振興会 2004 P84 ・ 85\r\n8)達本美香:グループ学習法による学習意欲向上の方略研究 名古屋学院大学論集 P81 ・ P82\r\n9)佐藤 学:教育の方法 放送大学教育振興会 2005\r\n10)波多野誼余夫・稲垣佳世子:発達と教育の心理学的基盤 放送大学教育振興会 2005\r\n11)梶田叡-:教育評価 放送大学教育振興会 2004\r\n"}]}, "item_creator": {"attribute_name": "著者", "attribute_type": "creator", "attribute_value_mlt": [{"creatorNames": [{"creatorName": "藤本, 末美"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "166", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}, {"creatorNames": [{"creatorName": "増田, いづみ"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "167", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}, {"creatorNames": [{"creatorName": "川口, 智久"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "168", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}]}, "item_files": {"attribute_name": "ファイル情報", "attribute_type": "file", "attribute_value_mlt": [{"accessrole": "open_date", "date": [{"dateType": "Available", "dateValue": "2013-03-12"}], "displaytype": "simple", "download_preview_message": "", "file_order": 0, "filename": "1_4.pdf", "filesize": [{"value": "1.5 MB"}], "format": "application/pdf", "future_date_message": "", "is_thumbnail": false, "licensetype": "license_11", "mimetype": "application/pdf", "size": 1500000.0, "url": {"label": "本文(PDF)", "url": "https://dcu.repo.nii.ac.jp/record/6/files/1_4.pdf"}, "version_id": "6909f081-530c-4a36-b4c1-6ade127de9fa"}]}, "item_keyword": {"attribute_name": "キーワード", "attribute_value_mlt": [{"subitem_subject": "教育内容", "subitem_subject_scheme": "Other"}, {"subitem_subject": "教育方法", "subitem_subject_scheme": "Other"}, {"subitem_subject": "認識過程", "subitem_subject_scheme": "Other"}, {"subitem_subject": "学習効果", "subitem_subject_scheme": "Other"}]}, "item_language": {"attribute_name": "言語", "attribute_value_mlt": [{"subitem_language": "jpn"}]}, "item_resource_type": {"attribute_name": "資源タイプ", "attribute_value_mlt": [{"resourcetype": "departmental bulletin paper", "resourceuri": "http://purl.org/coar/resource_type/c_6501"}]}, "item_title": "社会(介護)福祉教授法の検討", "item_titles": {"attribute_name": "タイトル", "attribute_value_mlt": [{"subitem_title": "社会(介護)福祉教授法の検討"}, {"subitem_title": "A Study on Teaching Methods of Social Welfare", "subitem_title_language": "en"}]}, "item_type_id": "10002", "owner": "14", "path": ["12"], "permalink_uri": "https://dcu.repo.nii.ac.jp/records/6", "pubdate": {"attribute_name": "公開日", "attribute_value": "2013-01-21"}, "publish_date": "2013-01-21", "publish_status": "0", "recid": "6", "relation": {}, "relation_version_is_last": true, "title": ["社会(介護)福祉教授法の検討"], "weko_shared_id": -1}
社会(介護)福祉教授法の検討
https://dcu.repo.nii.ac.jp/records/6
https://dcu.repo.nii.ac.jp/records/64fdd26a8-b737-4c5a-a0b9-c29f41a7c7ea
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
本文(PDF) (1.5 MB)
|
Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
公開日 | 2013-01-21 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 社会(介護)福祉教授法の検討 | |||||
タイトル | ||||||
言語 | en | |||||
タイトル | A Study on Teaching Methods of Social Welfare | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
キーワード | ||||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | 教育内容 | |||||
キーワード | ||||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | 教育方法 | |||||
キーワード | ||||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | 認識過程 | |||||
キーワード | ||||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | 学習効果 | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||
著者 |
藤本, 末美
× 藤本, 末美× 増田, いづみ× 川口, 智久 |
|||||
著者別名 | ||||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
識別子 | 169 | |||||
姓名 | Fujimoto, Suemi | |||||
著者別名 | ||||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
識別子 | 45 | |||||
姓名 | Masuda, Idumi | |||||
著者別名 | ||||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
識別子 | 46 | |||||
姓名 | Kawaguchi, Tomohisa | |||||
抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 社会福祉教授法においては様々な教育がなされている。しかし,ケアは実践の学であり,座学で学ぶことの困難さを意味している。このような視点から,理論や知識をどのように吸収し,学生自身の認識構造に収め,ケア実践時に取り出すことができるのか。このような疑問からスタートして,教育内容はより理論に裏づけられ,分かりやすい知識として理解できるのか。実際にケース事例を使ってトレーニングするなど教育実践を試みた。教育実践の方法論として,グループワーク方式を取り入れ,学生自ら学習に取り組み,学生自身の学習の消化吸収をねらいとした。平成18年前期の「介護技術III」の授業でその試みを実践し,若干の示唆が得られたので報告する。 | |||||
書誌情報 |
田園調布学園大学紀要 en : Bulletin of Den-En Chofu University 巻 1, p. 33-49, 発行日 2007-03-17 |