WEKO3
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今後の介護実践の質を高めていくために。介護技術Ⅲ・介護過程は大切な教科目として取り上げられるようになってきた。日々の介護において,直感的な判断が問われる領域として重要視されている。介護実習では,利用者と対面して介護の実践が行われる。\r\nこの介護実践において,「なぜ,今,その介護を行っているのか」との問いに答えることが出来る学生が少ない。事実,実習時に,介護技術Ⅲ・介護過程の事例展開を実習施設の利用者に直接ケアをすることを通して学んでいるが,こめ時,学生自身の中で必要時「介護の考え方を使えるようにできる学習内容となっていたか」については検討が必要であると思われる。介護福祉士は,利用者と対面して,そのつど直感的な判断が要求され,ケア・介護の実践が求められるが,その前提に専門家としての判断が必要である。この判断を適切に行い,それに伴って介護の実践が行われて初めて,専門家といえる。この最初の訓練が実習となっており,繰り返される訓練によって,直感的な判断ができるようになるものと思われる。\r\n そこで今回,介護技術Ⅲ・介護過程の授業を行うにあたって,介護福祉士の判断の根拠となる介護過程にICFの考え方を投入した。その上で,学生の中に,介護の考え方や介護の実際について,必要時いつでも使える情報として根付かせるための教育内容と方法について,検討することにした。\r\nⅡ 研究目的\r\n1.介護技術Ⅲ・介護過程の教育内容をとおして,「学生の思考スタイルが受動的な学習から,能動的な学習に向かうに学びの過程」について検討する。\r\n2.「グループ学習が,学生が自ら探求することのできる学習方法として,効果的であったか」について検討する.\r\nⅢ 研究方法\r\n1 期間 平成19年4月~11月\r\n2 対象および方法\r\n(1)介護技術Ⅲ・介護過程の教育内容とグループ学習の展開についての検討\r\n(2)平成19年前期開講科目。介護技術Ⅲ・介護過程を受講した学生42名へのアンケー卜,参与観察,および学習過程のノートの検討\r\n3 分析方法\r\n(1)介護技術Ⅲ・介護過程の教育内容とグループ学習の展開についての検討過程を吟味した。\r\n(2)学生42名へのアンケー卜,参与観察,および学習過程のノートの内容について,エスノグラフイによる分析を加えた.\r\n4 倫理的配慮\r\n教育場面における授業へ参加した学生には,学習としての進度や内容に困惑や迷惑が起こらないように配慮すること。得られたデータについでは研究以外には使用しないことを約束した。\r\n《用語の定義》\r\nグループ学習:授業1回目に配付されたシラバスに沿って,課題を授業当日までに調べてくる。調べてきた課題をグループ内で発表,討議し意見をまとめる。討議結果を全体に向けて発表する。全員にわかりやすく伝えるための工夫を行い,まとめを発表する。ノート:学生が専用ノートを1冊用意する。ノートに記録する内容は事前課題の内容,グループ討議内容,グループごとの発表内容の記録,自分でわかったまとめを記入する。\r\nⅣ 研究結果\r\n1 受動的な学習から能動的な学習に向かう学びの過程の検討\r\n (1)直感的な判断が問われる領域の学びの工夫\r\n1)学習内容(介護技術Ⅲ・介護過程)の特性から,対象者の援助をおこなうために,その場に応じて,常に「なぜその援助をするのか」についで問われる。つまり,直感的な判断が問われている。従って,授業を通して,学生の学びに深い理解と洞察が加えられ,応えられるように,教育・訓練する必要性がある。\r\n2)思考スタイルの受動的から能動的への転換\r\n 今回の学習課題にあたっては,その学習内容の特性から,双方向性の少ない講義形式の学習から,学生の能動的学習に向かう過程のきっかけが,各時限の中に異なったより多くの思考過程が存在するように,学習カリキュラムを工夫することを試みることにした。\r\n 図1のように,受動的学習の要素としては,感覚器官としての視力,聴力から入力した情報を中心に頭の中で統合するという,学習スタイルだと考えることができる。図2のように,能動的学習の要素では,あらゆる感覚器官を動員し,全身を使って表現して,相互理解を深めていくと考えることができる。\r\n図1 受動的学習スタイル\r\n図2 能動的学習スタイル\r\n3)多くの学習スタイルを取り込むグループ学習\r\n 各学生が学習スタイルの多様性にあうように,多くの学習スタイルをとりこむことを考えた。学生が,ある課題を受け止めて,理解し,情報をこなす過程には,学生各自による異なる受け止め方で解るのではないかと考えた。90分の時間の流れを様々なプログラム(メニュー)で構成することを試みる。学生の情報の受け止め方に固有の受け止め方があるとすれば,同じ情報を受け止めるために,異なる受け止め方をできる学習の工夫を,できるだけ多くすることで,どの学生にも情報を受け止めるチャンスが多くできるようにする。\r\n(2)グループ学習の学びを有効にするための工夫\r\nこのようなグループ学習方法をとおして,学生各自の受け止め方で学習を獲得していくためには,教員が事前準備,授業中の進行の運営,事後のまとめ等を準備する必要がある。\r\n①事前準備について,1つには,教科全体の教育内容および方法についてよく検討する必要がある。中でも,教育内容と方法を立体的に組み上げて,学生自身を中心にした学習の内容の手順を詳細に検討する必要がある。授業の当日の中心になる「テーマ」を事前学習の課題として提出する。\r\n②授業中の進行状況を運営する。授業については,学生の学びに必要な時間と学習方法を決定して,学生の各グループの進行状況にあわせて,時間を管理しながら進行する。各プログラムの進行に関しては,教員は各グループを巡回して,進行状況を確認し,学習状況が進行していない場合は,どこで進行がうまくいかないのかを確かめ,学習内容の場合は,共に内容について討議し,進行状況の場合は,リーダーの進行状況を促すなどの学習の援助を行う。発表を行う場合は,発表資料の検討,教育媒体,教材,内容などについて援助し,さらに発表をサポートする。\r\n③事後の整理やまとめについて,授業の最後に配分された時間を使って,当日の課題の学習の受け止めた内容について確認し,各自のノートにまとめを行う。学生個々の学習の進行状況をサポートする。\r\n グループ学習を行うのは,グループを構成する一人ずつの学生自身であることを重要視する必要がある。時には,グループ学習から離れて個別の学習をフォローするといった配慮が必要である。\r\n2.授業の実際\r\n(1)授業計画\r\n 表1でみるように,1時限・90分の時間の流れを5段階に分けてグループワークを展開する。学生には,グループ学習による学習方式であること,評価はノート提出で行うことを説明する。学習の実際として,1段階の知識修得では,学習の進め方として,事前課題を調ベレポートにまとめ持参する。2段階の知識の確認,認識,理解の深まり,情報の広がりでは,各自の課題レポートをグループリーダーの進行により発表する。グループ全員の発表の後,質疑や情報の交換,確認を行う。3段階のグループ内で得られた知識を自分の言葉にしてこなす,他の学生へ伝達するでは,グループのまとめを行う。理解が深まった情報を,他のグループの学生に伝えられるように,整理し, グループの中で自分達の言葉と表現スタイルで,模造紙や黒板を用いてまとめを行う。発表時に図示したイメージを展開しながら,グループメンバーは内容の説明の仕方について工夫をして,他のグループメンバーに伝える。4段階の他のグループでの討議内容を学ぶ,関連する情報の幅が広がる,言葉の持つイメージを広げるでは,発表スタイルを整え,各グループのやり方で発表を行う。情報の整理の仕方やグループの解釈が加わる。グループの発表内容については,各自がノートに整理を行う。5段階の習得した情報を使うことができるでは,各グループの発表が終了する。教員が課題についてコメントをいれる。各自がノートに整理し,まとめを行う。\r\n表1 授業計画\r\n1時限・90分の時間の流れを5段階に分けてグループ学習を展開する\r\n (2)授業の実際\r\n 授業の進め方としては,授業の第1回目に,シラバスを配布して授業の進め方を説明し,評価はノートで行うこと,グループ学習の方式で学習することを説明した。グループのつくりかたは,学生42名(男性29名,女性13名)を無作為に選び1グループ7名として6グループに編成した。教室内のグループの位置と座席を固定した。また,グループリーダーを決め役割については,授業内のグループ学習の進行,まとめ役を行う。グループ学習の進め方については,事前課題を毎回の授業に向けて準備すること。事前課題をもとにグループ学習を行うごとにした。図3でみるように,グループ内での課題の発表討議では,「学生が順番に学習してきたものを発表し討議する」,「学習してきたノートを廻し読みして討議する」,「リーダーがその都度指名し発表する」などグループメンバーが工夫しあっていた。さらに,討議,グループ発表,まとめを行うなど,集中した学習が展開した。図4でみるように,討議した内容を模造紙や黒板を使い発表し,図5や図6でみるようにまとめを文字で表すだけでなく,絵にして表現したり、マジックのカラー入りであったりするなど,自分達が理解しやすい方法で内容を表現した。学びのまとめのノートでは,昼休み中に書き写す学生や自宅でノートの整理をするなど学びを確実なものとしていた。\r\n図3 グループ学習風景\r\n図5 グループまとめ\r\n図4 グループ発表風景\r\n図6 グループまとめ\r\n3.学生による学習の評価(アンケートの結果)\r\n(1)学生のグループ学習への関わり\r\n学生のグループ学習の関わりについては,以下の通りである。「事前課題は毎回調べてくる」では,大半の学生が授業の事前課題を調べてグループ学習に参加している。「自己の調べてきたことをグループメンバーに伝える。グループに役立つ資料を提供する」では,準備資料の少なさや,グループメンバーが同じ教科書やインターネットなどの検索方法で事前課題を調べており,討議に必要な資料内容に差異が生じないためメンバーに\r\n(2)グループ学習への意見(自由記載による)\r\n 表2は,学生の自由記載の意見を分析したものである。縦軸には学生の理解がすすむ深度を「調べる」「おもしろい」「わかる」でとり,横軸には学習スタイルが受動的から能動的に変化していく様子を「しなければならない」「気づく」「できるようになった」をおいた。各学生の意見を座標軸にマップさせ,あわせていくと理解と学習スタイルの変化の相関をみた。\r\n「しなければならない」では,知識の段階で調べることに終始している。「気づく」段階になると能動的となり「楽しい」「おもしろい」「しっかり学べる」ようになったとしており学習スタイルとしての「意見を言う,聞く,話し合う」という「グループ学習のよさ」についても述べている。「できるようになる」では学習態度がかわると学習がおも\r\n図8 否定的なグループ\r\n役立つ資料が少ないと言っている。「自己の考えを述べることができる,自己と他者との考えの相違に気づく」では,自己の考えを述べることができる学生は,調べてきた事や役立つ資料を提供している。課題を調べてこない学生は,グループメンバーの討議の様子を聞いて学習をしている。「グループ学習が円滑に進むように努力している,積極的にグループ学習に参加しているか」では,できていないと答えている。「グループ学習の内容を説明できる,グループ学習の内容を発表できるか」では,討議した内容を自分が説明し,発表できるかどうかについては,できていないとの答えも多くあった。「グループ学習の内容をまとめとしてノートできる」では,まとめとしてノー卜が,できていないと答える学生もいた。\r\n(2)グループによるグループ学習の傾向\r\n各グループ学習の傾向をレーダーチャートでみると,図7ように肯定的なグループと,図8ように否定的なグループがあった。図7はレーダーの数値が「O」に向い,メンバーが凝集しており,集中して討議をしている様子が伺える。図8は,レーダーの数値が「2」の方向に向っており,討議が十分おこなわれていない状況になっている。\r\n図7 肯定的なグループ\r\nしろくなり理解が深まうてきたとして最終的には「ICFなど専門的知識,理解が大切」「経験だけではない介護福祉士め仕事がある」と述べている\r\n表2 学生のぐ自也記載の意見から\r\n4 学習内容の評価(ノートのまとめから)\r\n (1)ノートのまとめを評価する\r\nノートのまとめの評価を①事前課題学習,②グループ討議のまとめ,③各グループの発表のまとめ ④全体学習のまとめ,⑤事例評価の5つに分けて評価した。\r\n①事前課題学習については全体の80%~90%の学生が行ってきている。②グループ討議,③各グループ発表を表4のように筆記していることを評価したものとなっている。\r\n「よく書かれている」・「普通」の評価をあわせると約80%の学生が自分のノートに授業中の記録を筆記しているふ。④表5ではまとめでは,授業の中で理解できたこと自分の考えなどを自分でわかる方法でまとめる。「よく書かれている」,「普通」をあわせると60%~70%になる。⑤表6は,「よく書かれている」評価になっている学生がグループ4で多い。\r\n表3 事前課題学習\r\n表5 授業のまとめ\r\n表4 授業中の記録\r\n表6 事例評価\r\n(2)A学生のノートから\r\n ここでは,グループ学習に対して肯定的意見の多かったグループのメンバーであるAさんのノート事例を図9に示す。事例課題については,調べてきている資料を添付し,グループ学習討議の結果や内容,授業のまとめなどを図や絵で工夫し,図9に示すようにまとめて記入している。\r\n 知識の取り込みが自分なりの工夫ででき,聞いたことがらを自分の言葉でまとめ,活用できるノート整理になっている。\r\n図9 Aさんのノート事例\r\nV 考察\r\n1「学生の思考スタイルが受動的な学習から能動的な学習に向かう学びの過程」についての検討\r\n(1)事前課題学習による学習姿勢の動機づけ\r\n 学生に事前課題学習を与え,事前課題学習に対する知識を習得することより,授業内容への受け入れや,関心が深まるのではないかと考え,シラバスの中で毎回の授業について,事前課題学習をすることにした。このことに対して,学生は,「課題は面白くて大切だ」「課題をやってこないとグループ学習の討議のとき,どうしたらよいのかわからなくなる」「専門的な知識理解の大切さがわかった」「自分なりに調べるとわかりやすい」と述べている。学生にとって事前課題学習を行うことは,学習のレディネスを整えることになり,授業に対して,能動的に向かい,学習のモチベーションを高めることが出来るということがわかった。このことを金子(2007年)は,「かまえ」と言っている。一方的に授業を受ける従来型の受動的学習姿勢から能動的学習姿勢にかわる「きっかけ」になるのではないかと考えることができた。\r\n(2)学びの変化はどのようにしておこったか\r\n 学びの変化はどのようにしておこったかについて,2つあげることができる。1つには,事前課題学習を調べてくることによる変化であった。始めはやってこない学生もいたが,やっでこないと「どうしたらよいかわからない」またはその後の「グループ学習への参加ができない」ことが自らわかるようになり,「課題をするようになった」としている。\r\nまた,「責任感がでてきた」「授業をさぼらないようになった」「課題についてより深く理解するようになった」「テーマの中にある大切な事を見極める姿勢がついた」「授業への興味が深まり,授業を受ける姿勢に変化がでた」としている。さらに,「覚えることから理解するようになった」「わからないからわかるようになった」「理解するととても楽しい,勉強することがたのしくなった」「知らず知らずのうちに知識が身に付いた」としている。その結果,「勉強する意欲が高まり,広い視野で学べるようになった」さらに,「介護福祉士の見方に変化が起こった」としている。\r\n2つには,グループ学習から得られた変化であった。グループ学習では課題の発表,討議,まとめ,他の学生にわかるように発表することであった。この学習の過程から,「自分も意見を述べるようになった」「話し合うことでテーマの理解ができ,他の学生がわからないとき教えるようになった」「話し合うことで,自分が話しを聞いて考えるようになり,自分の考えが広くなった」「他の学生の意見が聞けて,学びになり,自分の考えがま とまり,深めることができた」としている。さらに,「グループ内でのコミュニケーションが図れるようになった」「グループ再編成したことで意欲がでた」としている。この「グループの再編成したことで意欲がでた」に関しては,グループ構成員による学習態度や人間関係があった。\r\nこのように,学習時間の積み重ねの過程を経て,学生の学びに変化がおきていったのであった。今回の検討では,考え方や授業の実際をとおして,シラバスから始まる一連のグループ学習を有効にするための,事前の準備が重要であることを再確認した。このことを,齊藤(2007年)は,「知識のうち,聞いていても自分で使いこなすことが出来ない消極的な知識と,自分で自在に使いこなせ,表現できる積極的な知識がある」と述べている。また佐藤(2004年)は,「ひたすら覚えこみ貯めこむ『貯金概念』に縛られた『伝達』としての教育から,「対話」によつ=て世界を読み替え広げていく学びへの転換が必要である」と言っている。\r\n2.グループ学習の効果と課題\r\n (1)グループ学習の効果\r\nグループ学習の効果については,2つあげることができる。1つは,学習方法としてのグループ学習である。グループ学習では,学生は学習方法を「面白い」「楽しい」「しっかり学べる」「とてもよい」「大事である」と感じている。そしてグループ学習への参加では,「意見を言わなければならない」「人の意見を聞く大事な場である」「自分の意見を言う場であり大事である」「聞いてもらうことの大切さ」「意見交換により話が広がり,新しいことに気付」「他の学生の考えを聞いて取り入れる,全員の積極的な参加がある」をあげており、能動的な学習への参加が見られるようになってきている。\r\n2つは,ノートによる評価の結果であった。結果は「良く書かれている」「普通」で各項目により,60%~80%\と好ましいものであった。また,A学生のモデルノートを例示しているが,グループ討議の様子や理解したことを図や絵で表すなど,知識から理解ヘさらに他の学生へと情報を発信している。このことは,多くの学習スタイルを取り込み,各学生の学習にあうように,多くの学習スタイルをとりこむことを考えた学習計画をうまく表現している。このモデルノートでみるような記録は,必要があるとき取り出して復習するなど,「がやがや」と討議を行い,検討したいきさつまで思い出して,活用してもらえるのではないかと思われる。\r\n(2)グループ学習の課題\r\nグループ学習の課題としては,9O%近くは良い結果を生み出している。しかし,10%の学生に課題が残っている。それらは,欠席・事前学習課題をしないで授業に参加,グループ学習の参加がしにくいなどであった。この1O%の学生に対しては,グループ学習時に個別のアドバイスを行うことや,個別の学習方式によるフォロー体制が必要だと考える。\r\nⅥ おわりに\r\n今回の研究では,介護技術Ⅲ・介護過程でグループ学習という学習方式を試みて,楽しい学びが,自己の意欲向上や理解によい影響を及ぼすこと,個人の学びが,グループ全体の学びにプラスになったことがわかった。学生は学んだこと,考えたことを自分たちが工夫した方法で使える知識に変えている,例えば絵や図にすることなどは今後,学習した知識を自分のものにする一つの方法となった。自分で学んだことや調べたことを自分の言葉でまとめると,理解し,他の学生との話の中でも学びが深まり,共同的な学びが出来たと思われる。その結果,学生はグループ学習を肯定的に捉え,お互いによい影響をおよぼし学びが効果的に出来ていたと考える。この授業をとおして,このように学んだことが専門的判断が適時にできるためのいつでも使える情報としての確立,定着へむけた足がかりができたと思う。\r\n 近年の教育学は,アイディアを相互に分かちあう学びを「互恵的な学び」と呼び,個と個を擦り合わせの中で学びあう「協同的な学び」と「互恵的な学び」へと変換しているが,学びは,他者との関わりを通して遂行され,個と個の差異のすりあわせを通して達成されるいとなみであるともいわれる。このためには「個」を認識し,相手との差異に気づくには,相手の考えていることをよく「聴く」こと,そして「理解する」ことが重要となってくる。これらは知識の共有のためにかかすことのできないことである。「21世紀の社会が多様な人々が共存し共生しあう社会であるとするならば,他者のアイディアを積極的に受け入れ,自らのアイディアも惜しみなく提供しあうことが学びの基本にすえられる必要がある。」と佐藤(2004年)は述べているが,その学びの体験や実感こそが学生には大切である。グループ学習は,その意味で体験や実感ができるよい学習であるが,「個」の認識を導くための工夫が今後,一層必要になってくると思われる。\r\n このようなグループ学習をとおして学生自身の変化が教員にとって,何より刺激になったことはいうまでもない。今回の成果を,今後の授業に生かして生きたいと考えている。\r\n\r\n参考引用文献\r\n1)金子元久『大学の教育力』ちくま新書 2007年 \r\n2)斉藤孝『教育力』岩波新書 2007年\r\n3)佐藤学『改訂版 教育の方法』放送大学 2004年\r\n4)佐藤学『教育改革をデザインする 岩波書店 2004年 \r\n5)栗栖照雄 松本由美子 渡邊一平 塚口伍喜夫 編著『介護福祉教育の方法と実践 新しいケアワーカー像を求めて』 角川学芸出版 2007年\r\n6)『介護福祉教育』2007年3月\r\n7)グレゴリ一・クラーク『なぜ日本の教育は変わらないのですか?』東洋経済新報社 2003年\r\n8)新富康央 『現代の学生気質と大学教育(とりわけ介護福祉士教育)対応について』介護福祉教育N0.24 第13巻 第1号』2007年\r\n"}]}, "item_creator": {"attribute_name": "著者", "attribute_type": "creator", "attribute_value_mlt": [{"creatorNames": [{"creatorName": "藤本, 末美"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "201", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}, {"creatorNames": [{"creatorName": "増田, いづみ"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "202", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}, {"creatorNames": [{"creatorName": "川口, 智久"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "203", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}]}, "item_files": {"attribute_name": "ファイル情報", "attribute_type": "file", "attribute_value_mlt": [{"accessrole": "open_date", "date": [{"dateType": "Available", "dateValue": "2013-03-12"}], "displaytype": "simple", "download_preview_message": "", "file_order": 0, 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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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本文(PDF) (2.3 MB)
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Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||
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公開日 | 2013-01-21 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 社会(介護)福祉教授法の検討 : グループ学習をとおして | |||||
タイトル | ||||||
言語 | en | |||||
タイトル | A Study on Teaching Methods of Social Welfare | |||||
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資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||
著者 |
藤本, 末美
× 藤本, 末美× 増田, いづみ× 川口, 智久 |
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著者別名 | ||||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
識別子 | 204 | |||||
姓名 | Fujimoto, Suemi | |||||
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姓名 | Kawaguchi, Tomohisa | |||||
抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 今後の介護実践の質を高めていくために,介護過程は大切な教科目として取り上げられるようになってきた。日々の介護において,直感的な判断が問われる領域として重要視されている。そこで今回,直感的判断を要する介護技術III・介護過程の教科目のなかで,「直感を養うための教育内容や方法」について検討を行い,多様な教育実践を試みた。結果,若干の示唆が得られた。当検討による学習実践から,モデル学生となる事例が生まれ,今後の教育実践において,期待できる経験ができたのでその経過を報告する。 | |||||
書誌情報 |
田園調布学園大学紀要 en : Bulletin of Den-En Chofu University 巻 2, p. 15-28, 発行日 2007 |